2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素結晶性を制御したバイオマスによる鉄の浸炭・溶融反応高速化技術
Project/Area Number |
22760577
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 光一郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (50432860)
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Keywords | バイオマス / 製鉄 / 浸炭 / 溶融 / 炭素結晶性 / ラマン分光分析 / 灰分 |
Research Abstract |
製鉄プロセスにおける化石燃料使用量削減のために、カーボンニュートラルであり日本国内に潜在的地上資源として多く保有されているバイオマスを製鉄利用する挑戦的技術と、炭材の評価-制御技術を組み合わせて、鉄の浸炭溶融反応の高速・高効率化をすることを目的としており、本年度は下記項目について検討を行った。 【1】木炭鉄混合試料の浸炭溶融挙動直接観察:バイオマス炭材として備長炭を使用し、比較試料として冶金コークス、黒鉛を準備した。炭材は、酸で脱灰処理を施し、ラマン分光分析による炭素結晶構造の評価および灰分量の定量的測定をした上で、純鉄と混合した圧粉体試料を作製した。作製した圧粉体試料は不活性雰囲気中で等速昇温を行い、レーザー顕微鏡を用いた高温直接観察により浸炭に伴う試料表面からの溶融鉄生成開始温度の測定を行った。その結果、酸による脱灰処理時間が長く、炭材中灰分量の少ない試料程、より低温から溶融鉄生成を開始し、浸炭反応に有利である傾向を示した。しかし、黒鉛を使用した試料では、炭材中灰分がほぼ存在しないにも関わらず、他の備長炭およびコークスよりも融液生成開始温度が高い傾向を示した。これは黒鉛の炭素結晶性が、他の炭材よりも高かった為に表れた傾向だと考えられる。 【2】溶融鉄への炭素溶解反応に炭材中灰分が及ぼす影響:上述のように、炭材中灰分も浸炭溶融反応に大きな影響を及ぼすことが示唆されたことから、ここでは炭材中に灰分が意図的に含有されたカーボンレンガを、高周波誘導加熱炉を用いて加熱・撹拌した鉄浴に浸漬させ、炭素溶解速度を測定およびその反応界面を観察した。そめ結果、炭材の灰分は溶解速度を明らかに減ずる影響を及ぼし、溶鉄炭材の反応界面において、両者の濡れ性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 以上本研究から、炭材中灰分が少なく炭素結晶性の低い炭材が浸炭反応に有利であることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)