2011 Fiscal Year Annual Research Report
冷媒利用に向けたハイドレートスラリーの平衡・輸送物性測定と実用性評価
Project/Area Number |
22760581
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 俊輔 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (00506446)
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Keywords | 化学工学 / 平衡・輸送物性 / 移動操作 / ハイドレートスラリー / 総エネルギー |
Research Abstract |
研究の全体構想として、蓄熱効率の高いハイドレート系を選定し、それらのスラリーを冷媒として循環させる省エネルギー・高効率な技術の確立がある。その中で本研究の主目的は、ハイドレートスラリーを実験対象とし、冷媒として利用する上で必要となる平衡・輸送物性に関する情報を収集することである。本年度実施した概要は、以下の通りである。 TBAB水和物スラリーにおける圧力損失の測定: 本研究課題において、前年度に購入したプロセス用オンライン粘度計およびスラリーポンプと、自作のクラスレートハイドレート(CH)スラリー調製槽を流通(閉鎖)系として結合させた、CHスラリーの流動性の計測システムのさらなる高精度化を行った。計測装置を用いて、臭化テトラブチルアンモニウム(TBAB,後述)をゲストとするCHスラリーについて、精密な粘性測定、ならびに円管内流動時の圧力損失の測定を実施した。その結果、冷水や氷水冷媒と比較して、低動力条件で高密度な熱利用が可能であることを見出した。なお、選定した数種のHFC系ガスハイドレートを用いて、CHスラリーの粘性・圧損の測定を行うため、計測システムを高圧測定用(<5MPa)へと拡張する予定であったが、予算の都合上、今後の研究課題へと持ち越した。 CHスラリーの選定:潜熱蓄熱型冷媒として相応しいCHゲスト分子の探索を行った。精密相平衡測定(圧力-温度線図)ならびにCH中のゲスト分子の占有性の測定(顕微ラマン分光法による)と、それに基づく理論的な生成熱の推算結果に基づいて、冷媒として最適なCH系を選定した。相平衡測定ならびに顕微ラマン分光分析は、研究協力者の菅原が主に担当した。上述のTBABハイドレートは生成熱が大きく、比較的軽量で安価であり、毒性・腐食性がないなどの潜熱型蓄熱材の条件を満たしている。本年度は、数種のHFC類の混合系からCHを調製すると、各HFC単体のCHにおける安定性を上回る混合ハイドレートが生成することを見出した。すなわち、HFC単体で用いるよりもはるかに穏和な条件でHFC混合冷媒をCH化し、潜熱蓄熱型冷媒として利用できる可能性を見出した。
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Research Products
(7 results)