2010 Fiscal Year Annual Research Report
コアシェル型イオン交換性微粒子内包かご型マイクロカプセルの創製とその金属吸着特性
Project/Area Number |
22760582
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
神尾 英治 神戸大学, 大学院・工学研究科, 特命准教授 (30382237)
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Keywords | マイクロカプセル / 界面活性剤 / DLVO理論 |
Research Abstract |
本年度は、コアシェル型イオン交換性微粒子内包かご型マイクロカプセルの基本構造となる微粒子内包マイクロカプセルの調製法確立を目指し、(1)固体微粒子分散液を内包しており、(2)マイクロカプセル内の粒子がカプセル壁により外部から隔離且つ保護されており、(3)単分散な粒径分布を有し、(4)分子が迅速に透過可能なカプセル壁を有することを特徴とするマイクロカプセルの調製に関して検討を行った。あらかじめ調製したかご状マイクロカプセル(MC)をアニオン性界面活性剤であるSodium dodecyl sulfate(SDS)、ノニオン性界面活性剤であるPolyvinylpyrrolidone(PVP)、Polyvinyl alcohol(PVA)、カチオン性界面活性剤であるHexadecyltrimethylammonium chloride(CTAC)のいずれかを溶解させたPoly(E-MA)水溶液、あるいはPVA水溶液中に分散させ、Melamine-formaldehydeプレポリマー水溶液を加え、60℃にて所定時間攪拌することによりメラミン樹脂(MF)微粒子を重合させ、かご状MCに内包させた。各々の界面活性剤添加系に対してMF微粒子同士の凝集が起こり得るMF粒子径を高分子吸着層反発とホモ・ヘテロ凝集を考慮に入れたDLVO理論により計算したところ、実際に得られた粒子径と概ね一致していることが確かめられた。さらにかご状MC分散系に対してMC-MF微粒子間およびMF微粒子同士の凝集について計算を行い、粒子の付着、凝集、分散状態を見積もり、実際に調製した微粒子内包かご状MCと比較した。その結果、かご状MC内の微粒子の分散状態と粒子径は計算から予測された結果と概ね一致し、PVA系でCTACを用いた場合、粒径が数μmのMF粒子がMC壁へ付着することなくカプセル内に分散して存在した。 以上より、粒子を内包するマイクロカプセルの創製に成功したと言える。粒子内包かご型マイクロカプセルの調製法を確立できた重要性は非常に大きく、同様の手法でイオン交換性微粒子もかご型マイクロカプセルに内包できると考えられるため、本年度の研究成果は非常に意義あるものと言える。
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