2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子内協同試薬による高度イオン液体抽出系の構築と金属イオン発光センシングへの展開
Project/Area Number |
22760585
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
下条 晃司郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (50414587)
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Keywords | イオン液体 / 溶媒抽出法 / 有害金属イオン / 発光 / センシング / 超分子化学 |
Research Abstract |
イオン液体を溶媒抽出法における抽出媒体として利用した場合、中性種のみならずイオン種の抽出も可能となるため、従来の一般有機溶媒を用いた抽出系とは大きく異なる特殊な抽出挙動を示すことが考えられる。本研究では、このイオン液体の特殊な溶媒特性を利用し、抽出媒体に用いることで環境汚染・毒性による人体への影響が問題視されている有害金属イオンの抽出と検出を同時に行うシステムを開発する。具体的には協同効果を示す配位子および発色団を1つの分子内に組み込んだ新規抽出剤を開発し、イオン液体抽出系ならではの擬似的な分子内協同効果を利用した有害金属イオンの高度抽出システムを構築する。さらに、イオン液体に抽出された金属錯体の特殊性を解明し、その光学特性を利用することで、有害金属イオンを発光により検出可能な有害金属イオン応答型抽出クロミックセンサーの開発に挑戦する。 本年度は8-キノリノール誘導体をジアザクラウンエーテルに結合した新規抽出剤を合成し、有害金属イオンであるカドミウムイオン(Cd^<2+>)の抽出を行った。その結果、一般有機溶媒を用いた系では、Cd^<2+>を定量的に抽出できるものの、8-キノリノールとジアザクラウンエーテルの混合系に対する優位性は小さかった。一方、イオン液体を用いた系では分子内での擬似的な協同効果が発現し、Cd^<2+>に対して極めて高い抽出効率を示すことが明らかとなった。 来年度はイオン液体に抽出されたCd^<2+>錯体の発光特性を解析し、有害金属イオンを発光により検出可能なクロミックセンサーの開発に挑戦する。
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Research Products
(9 results)