2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧水中における酸の解離促進現象を利用したアルギン酸の自己触媒化による精密分解
Project/Area Number |
22760586
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相田 卓 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教 (00466541)
|
Keywords | 新規反応場 / 超高圧水 / アルギン酸 / 精密分解 / 分子量制御 / 自己触媒効果 / 生体材料 / 組成制御 |
Research Abstract |
23年度の研究実施計画に基づいた成果を以下に成果を示す. 【◎アルギン酸の熱水処理における精密分解(分子量,ポリマー組成)の圧力依存性の解明】 本実験条件(~250℃,~100MPa)でアルギン酸を熱水処理を行うことにより,従来法(hours)と比較して,短時間(<1s)で生体材料としての利用に適した分子量(~10^3 g/mol)まで低下させることが可能であることを明らかにし,本手法がアルギン酸の分子量制御に有効であることを示した.処理後のアルギン酸の構成成分(M,G)の組成制御効果について検討するため,pHによる溶媒分離を行い,G-rich,M-richのアルギン酸に分離回収を行った.G-richアルギン酸は高温高圧条件,M-richアルギン酸は低温低圧条件で有利に生成していることを明らかにした.以上より,温度,圧力の操作によりアルギン酸の分子量,組成が無触媒条件において制御可能であることを確認し,熱水における無触媒プロセス提案を行った. 【◎アルギン酸の熱水における高圧高温領域における密度測定】アルギン酸の精密分解における圧力効果を検討するために,熱水中におけるアルギン酸の解離反応を,密度および体積挙動の圧力依存性を測定することにより評価した.0.3wt%アルギン酸水溶液の密度を,温度(298.15~318.15 K),圧力(0.1~50 MPa)において測定を行った.アルギン酸溶液の密度は一定温度において圧力増加に伴い増加し,比容積は圧力増加に伴って減少した.高圧下における水溶液の体積を常圧下のそれに対する変化量として換算することにより,常圧下に対する高圧でのアルギン酸解離反応に対する反応速度定数は大きくなることが示唆される.つまり圧力の増大に伴ってアルギン酸の酸解離現象が促進することを示唆している.本結果は圧力増大の効果としてアルギン酸の酸解離による自己触媒効果によるものであることを裏付けるものであると考えられる.
|