2011 Fiscal Year Annual Research Report
“超吸着種"概念に基づく高温不均一表面反応機構の新規構築法開発
Project/Area Number |
22760589
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小倉 鉄平 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (90552000)
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Keywords | 反応機構 / 不均一表面 / 量子化学計算 / 水素製造 |
Research Abstract |
本研究は、新しく考案した"超吸着種"概念を用いて局所表面構造を包含した高温不均一表面反応機構構築手法を開発し、具体的に水素製造技術へと応用し工業的実条件におけるNi触媒上での炭素析出反応機構を解明することが目的である。本年度は3年間の研究実施計画の内の2年目にあたり、初年度に確立した1)局所表面構造を包含しだ吸着モデリング技術のプロトタイプ、及び2)振動解析を用いた高精渡表面動力学論を用いて3)水素生成技術への応用による開発手法の有効性の実証の課題に取り組んだ。 具体的には、まず初年度において得られた局所表面構造を包含した水素製造技術のプロトタイプ表面反応機構を利用するために、3-1)局所表面構造を包含した反応シミュレーション手法の確立を遂行した。"超吸着種概念"により扱えるようになった吸着種存在下の局所表面エネルギーに関して新たな保存式を導入するなど、従来の反応シミュレーションアルゴリズムに対していくつかの理論的改良を行った。次に3-2)反応シミュレーションによる実験結果との比較検討を行った。1)及び3-1)で確立した反応機構及び反応シミュレーション手法を用いて、メタン転化率の水蒸気/メタン比率依存性など多数報告されているメタン水蒸気改質における実験結果と比較検討を行った。比較の結果、実験結果との相違が大きく、確立した1)の吸着モデリング技術のプロトタイプの精度がまだ十分でない事が分かったため、最終年度において吸着モデリング技術の高精度化による実験結果再現性の向上を行う予定である。 本年度の研究実施により、精度はまだ十分ではないが高温不均一表面反応機構の新規構築手法は確立したため、第108回触媒討論会等で成果発表を行った。特に触媒学会コンピューター利用セミナーにおいて依頼を受けて招待講演を行っており、触媒技術における本研究の重要性が評価されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施により、精度はまだ十分ではないが高温不均一表面反応機構の新規構築手法は確立したため、研究目的の達成度は順調である。研究課題の内、3)水素生成技術への応用による開発手法の有効性の実証の課題は十分に達成されていないが、もともと研究実施計画において来年度に達成予定であるため、計画通りに進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
メタン水蒸気改質における実験結果と比較検討の結果、初年度に確立した1)め吸着モデリング技術のプロトタイプの精度がまだ十分でない事が分かったため、最終年度において吸着モデリング技術の高精度化による実験結果再現性の向上を行う予定である。具体的には、追加で必要と考えられる量子化学計算を適宜行い、プロトタイプ反応機構で十分に考慮できていない特異サイトでの反応データ等を追加することにより、吸着モデリング技術の高精度化を図る。
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