2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造を制御した中空カーボン粒子に内包させた金属ナノ粒子の反応性に関する研究
Project/Area Number |
22760597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 隆史 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 技術職員 (00379314)
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Keywords | コア-シェル / パラジウム / 多孔性カーボン / 水素化反応 / アルコール酸化反応 / 不均一触媒 / ナノ粒子 / 再利用 |
Research Abstract |
本研究は、金属ナノ粒子を多孔性中空カーボン粒子に内包させたコア-シェル構造体に着目し、調製法を変化させることでシェルの構造や物性の制御を行い、シェルが触媒反応へ及ぼす影響を調べることを目的とする。本年度は金属ナノ粒子として種々の有機合成反応に利用されているパラジウムを選択し、多孔性中空カーボン粒子に内包させたコア-シェル構造体の調製とその触媒活性について検討を行った。これまでに報告している白金やロジウムと同じ調製方法では、パラジウム粒子が凝集してしまい、ナノサイズのパラジウムを内包したコア-シェル構造体の調製は困難であった。XPSなどの分析により調製途中に酸化パラジウムへと変化していることを明らかにした。酸化パラジウムはパラジウムに比べて融点が低いため、シェルの前駆体を高温で炭化処理する時に粒子が凝集してしまったものと考えられる。そこで、調製時に生成した酸化パラジウムを水素処理によりパラジウムに還元したところ、粒径をある程度維持したまま、パラジウムナノ粒子を内包したコア-シェル構造体の調製に成功した。得られたコア-シェル構造体は種々のオレフィンの水素化反応およびアルコール類の酸化反応に対して、市販の活性炭担持パラジウム触媒よりも高い活性を示した。ベンジルアルコールの酸化反応では反応中の副生成物がパラジウム表面を被覆し、活性が低下することがわかった。活性を回復させるためにはパラジウム表面の有機物を熱分解させる必要があるが、市販の担持触媒では熱処理によってナノ粒子が凝集してしまい、再利用を繰り返すたびに活性が低下する結果となった。一方、コア-シェル構造体ではパラジウムナノ粒子がシェルに内包されているためナノ粒子同士の凝集が抑制され、熱処理を行ってもほとんど活性の低下なく再利用できることを見出した。
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