2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波による非平衡局所加熱を用いた革新的触媒反応系の構築
Project/Area Number |
22760598
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塚原 保徳 大阪大学, 工学研究科, 特任准教授 (10397713)
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Keywords | マイクロ波 / 非平衡局所加熱 / 金属ナノ粒子 / 強磁性 / 複素透磁率 |
Research Abstract |
本研究目的は、マイクロ波による非平衡局所加熱を用いた革新的触媒反応系を構築することである。ターゲットは、有機合成化学反応において最も重要な反応である炭素-炭素形成反応を基軸とし、鈴木-宮浦カップリング反応などの検討を行う。触媒として、マイクロ波吸収能の指標である磁性損失係数の大きいナノ粒子を設計・合成し、触媒反応では、反応速度、活性化エネルギーを算出し、通常加熱法と比較することにより、マイクロ波の寄与を解明する。 H22年度は、計画通りマイクロ波吸収能の高いナノ触媒を設計・調製した。金属はニッケルを軸とし、マイクロ波浸透深度、触媒表面積、触媒分散能を考慮して、10-100nmのナノ触媒を設計した。本年度は、1元系では、粒径依存性を検討するためにNiナノ粒子の精密粒径制御をおこない、極めて粒径の揃ったナノ粒子の合成に成功した。2元系では、表面酸化状態や、内部構造によるマイクロ波との相互作用を解明するために、Ni-Cuコアシェル粒子を設計・合成し、合成時の金属比によりコアシェル比をコントロールすることに成功した。また、本合成法からのNi-Cuナノ粒子は、表面に薄い酸化ニッケル層が確認されたが、酸化銅の存在は確認されなかった。これらの構造は、XRD, TEM, XPS, ADF-STEMで評価し、物性は、SQUID磁化率測定から飽和磁化、残留磁化を求め、ネットワークアナライザーを用いたSパラメーター法測定からは、複素誘電率・複素透磁率を求め、磁性損失係数を算出した。これらの金属触媒は、マイクロ波2.45GHz.5.8GHz照射下で触媒活性が高いことが示唆された。
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