2010 Fiscal Year Annual Research Report
低細胞毒性のセルロース溶媒を用いたリグノセルロースリファイナリー基盤技術の構築
Project/Area Number |
22760603
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仁宮 一章 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10379125)
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Keywords | イオン液体 / リグノセルロース / 超音波 / 低細胞毒性 / 糖化前処理 / 固体酸触媒 / 酵母 / 糖化 |
Research Abstract |
セルロース溶解性化合物のうちコリン系イオン液体が酵母に対する毒性が顕著に低いことを初めて見出した。そこで、本研究では、コリン系イオン液体を利用したリグノセルロースからのエタノール製造プロセスを構築する。これにより、低環境負荷かつ超高速・効率的にリグノセルロースから単糖を製造でき、安価にバイオ燃料を生産できる。本プロセスの特長は、1)コリン系イオン液体で溶解したセルロースは1h程度の固体酸触媒反応であらかじめオリゴ糖・単糖化できる点。2)引き続き、コリン系イオン液体を除去せず、糖化酵素発現酵母を用いて、同時糖化・発酵を行なえる点。3)発酵後、コリン系イオン液体は分離再利用でき廃液を出さない点である。 細胞毒性の低いセルロース溶媒の新たな候補として、8種のコリン系イオン液体を合成した。合成した8種類のコリン系イオン液体について、細胞毒性と糖化前処理能(リグノセルロース溶解度、糖化前処理効果)を検討し、既存のセルロース溶解性イオン液体と比較した。その結果、細胞毒性が低くかつ糖化前処理能も高いのは、コリン酢酸であることが分かった。 イオン液体中で超音波と固体酸触媒併用した酸糖化反応(30分)を行なった。その結果、リグノセルロース中のセルロース成分の約100%が可溶化した(平均重合度が101程度のオリゴ糖にまで低分子化された)ことが分かった。一方、リグニンは残渣として100%残っていた。
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