2011 Fiscal Year Annual Research Report
生物時計由来素子を用いた人工時計細胞デバイスの創製
Project/Area Number |
22760604
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小嶋 勝 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (00533647)
|
Keywords | 生物物理 / 生物・生体工学 / ナノバイオ / 分子機械 / 生体機能利用 |
Research Abstract |
唯一、試験管内再構成が可能なシアノバクテリア生物時計由来素子であるナノサイズ時計タンパク質KaiA,KaiB,KaiCを微小空間内に封入し、制御性を高めたナノ・マイクロサイズの人工時計細胞デバイスを生み出すことを目的として本研究を推進している。時計タンパク質を人工膜小胞中に再構成し、時計としての活性を保持しているかを、油中におけるリン脂質被覆ドロップレット中での時計タンパク質の再構成を行い確認しところ、再構成された時計タンパク質は24時間周期ではなく35時間の長周期となっていた。この長周期化が起こっている原因を明らかにするために、時計タンパク質に蛍光標識を行い、膜小胞中での動的変化を明らかにすることを試みた。蛍光標識によるKaiタンパク質のドロップレット内の局在を観察した結果、KaiCがドロップレット膜近辺へ局在していることが確認された。一方、KaiBタンパク質は一様に分布することが確認され、これらの局在は変化しないことが確認された。このため、長周期化の原因はKaiCが膜近辺へ局在することで、局所的なKaiCタンパク質濃度が上昇し、Kaiタンパク質の濃度バランスが通常の状態と異なるために引き起こされている可能性が示唆された。これらの結果から、Kaiタンパク質の混合比率を操作することで、時計の周期が制御できる可能性が示された。これらの成果は生物時計の応用への土台となるだけでなく、より細胞に近い膜小胞中再構成における新たな振る舞いを明らかにし、新しい知見をもたらす成果である。
|