2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の金属認識デザインによる次世代型レアメタルバイオキャッチャーの創製
Project/Area Number |
22760606
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 浩一 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30432339)
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Keywords | 細胞表層工学 / レアメタル / バイオキャッチャー / 酵母 / ModE |
Research Abstract |
細胞表層工学により次世代型のレアメタル選択的バイオキャッチャーを創製していくのに際して、これまでに創製したレアメタルバイオキャッチャーを基盤にし、これに選択性を付与していく。具体的には大腸菌由来のモリブデン結合タンパク質(ModE)を細胞表層提示した酵母が、モリブデン酸イオンだけでなくタングステン酸イオンに対しても吸着・回収能を示したため、ModEの改変によって選択的金属吸着というさらなる有用性の付与を目的とした。ModEに結合選択性を付与するため、モリブデンとタングステンのサイズの違いによって金属認識できるよう水素結合に関与する6つのアミノ酸残基に着目し、変異を導入することによって金属結合ポケットサイズの改変を試みた。ModE細胞表層提示プラスミドを基に、水素結合に寄与する側鎖のOH基を同様にもちながら側鎖の長さが異なるアミノ酸への置換(S126T、T163S、T163Y)やアミノ酸の酸性・塩基性の効果を見るための変異(R128E)といった4種の置換変異を導入した。変異導入した発現プラスミドを酵母細胞に導入・発現し、蛍光抗体染色法によって細胞表層提示を確認した。モリブデン及びタングステン含有水溶液中に構築したModE変異体提示酵母を加えて吸着試験を行った後、上清を回収し、ICP-MSによって溶液中に残存する金属イオンを定量することによって吸着能の評価を行った。その結果、T163Yの変異を導入したModE変異体提示酵母はタングステンに対する吸着能を保持したまま、モリブデンに対する吸着能が大きく低下するといった選択的吸着能を示し、pH5.4において野生型のModE提示酵母と比べて選択性が約3.7倍増加した。実際の回収ターゲットとなる金属溶液中には目的の金属以外の様々な金属が混在している場合が多く、金属循環型社会システムの構築に向け、このような選択的吸着は今後非常に重要となると考えられる。
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Research Products
(1 results)