2010 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルを伝達する小分子応答性人工受容体による経済的な心筋再生療法の確立
Project/Area Number |
22760607
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
十河 孝浩 京都大学, 生命科学系キャリアパス形成ユニット, 研究員 (30561972)
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Keywords | シグナル伝達 / 受容体 / 抗体 / 心筋再生 / ES細胞 / iPS細胞 / Wnt3a |
Research Abstract |
本研究は、ES細胞やiPS細胞を効率的かつ安価に心筋細胞へ分化させて心筋を再生する手法を確立し、重症心疾患を治療することを目的としている。 心筋細胞への分化を促進するWnt3aシグナルを伝達させるために、まずWnt3aの受容体であるLRP6とFrizzled8のキメラ受容体をそれぞれ作製した。キメラ受容体は、その構造の違いを考慮してそれぞれ数種類ずつ作製し、様々な組み合わせの受容体ペアーを細胞に発現させて解析を行ったが、そのうちのいくつかのペアーでは、リガンドであるBSA-Fluorescein複合体(BSA-FL)を認識してシグナル伝達を活性化できることが確認できた。このシグナル伝達の解析結果は、293T細胞、MEF、マウスEs細胞株ht7の3種類の細胞を用い、β-catenin/Tcf依存性の転写活性を、レポーターアッセイにより確認された。しかし、リガンド分子のない状態(BSAのみの刺激)においてもわずかながら古典的Wntシグナルの活性化を認めた。キメラ受容体の構造の改変あるいは、Fz8/LRP6の2種類のキメフ受容体の発現レベルを調整することで、より特異的かつ感受性の高いシステムを構築する必要が今後の課題となる。 天然のWnt3aに代わる小分子リガンドに応答して、Wnt3aシグナルを伝達できる可能性のあるキメラ受容体を作成することは、これまでに誰も成し得ていない試みであり、今後はこのキメラ受容体を改良したものをES細胞やips細胞に導入して発現させ、実際にBSA-FL依存的に心筋細胞への分化効率を上昇させることができるかどうか検討していく必要がある。
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