2010 Fiscal Year Annual Research Report
酵素反応によりゲル化可能なゼラチン誘導体を用いた腹膜播種治療法の開発
Project/Area Number |
22760610
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20359938)
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Keywords | ガン治療 / ゲル / 腹膜播種 / ゼラチン |
Research Abstract |
腹腔内の複雑な形状の部位に広範囲にガンが発生する腹膜播種は、有効な治療法が確立されておらず、罹患判明後の余命は数ヶ月程度である。その有効な治療には、複雑な幾何形状の部位にも入り込み抗ガン剤を徐々に放出するシステムの開発が必要であるとの考えから、本研究では、腹腔に注入すると臓器間に浸透した後にゲル化し、その後ゲルの分解に伴い抗ガン剤を徐放することで腹膜に生着したガンを持続的に攻撃する治療法の開発を目指している。まず、2010年度はゼラチン誘導体ゲルに抗ガン剤(ジェムシタビン)を担持した際の徐放特性を調べ、より最適なゲルを作製することを試みた。結果、当初予想した以上に急速な抗ガン剤の徐放が確認され、徐放速度を抑制するためのゲルの物性の制御やゲルとの相互作用により拡散による漏出が起こりにくい抗ガン剤の選定が必要であることが明らかとなった。次いで、これまでのゲル化様式をより生体に負荷の少ないものにすべく、ゲル化の際に添加が必要であった過酸化水素を使用せずにゲル化させる方法の開発を行った。その結果、体液中に存在する成分をトリガーとして生体に穏和なゲル形成が生じる方法の開発に成功した。この方法では、溶液状態で生体に注入すると体液成分と反応してゲル化が開始され、適切な条件に設定することにより1分程度でのゲル化が可能であることを見出している。また、このようなゲル化様式に関してはこれまでに報告がなかったことやその汎用性を考慮し大阪大学より特許の出願を行った。
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Research Products
(5 results)