2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的変異データベースに基づく新規蛋白質設計法の開発
Project/Area Number |
22760616
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横田 亜紀子 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (20415764)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / 機能改変 / 変異解析 |
Research Abstract |
本研究では、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をモデル蛋白質とし、その網羅的変異データベースを用いることにより、汎用性・確実性の高い新規蛋白質設計法の確立を目指した。既存の変異データベース上のデータが不完全であったサイトについて、変異体作製と、作製した変異体の活性や安定性、二次構造等の測定を重点的に行うことで、より高精度な蛋白質設計を可能にする精密な変異データベースを構築した。その結果、各蛋白質特性パラメータ(活性、安定性、基質あるいは補酵素特異性などに対する変異効果)と配列情報(保存度等)の関係、あるいは各蛋白質特性パラメータとアミノ酸特性(極性、サイズ等)の関係、など、アミノ酸配列(変異導入部位や置換するアミノ酸の種類)と蛋白質特性パラメータとの対応関係の経験則の抽出が可能となった。このような蛋白質の網羅的変異データベースは前例がなく独創的であり、従来のバイオインフォマティクスからは得られない新規の知見の獲得に繋がった。 また、網羅的データベースを直接利用した進化工学的な蛋白質設計法の確立を目標として、DHFRの高活性化と補酵素特異性変換などに焦点を当て、DHFRの変異型蛋白質の作製を試みた。準加算的適応歩行法を用いて、より高い目的特性を有する多重変異体の獲得を目指すことで、配列上および立体構造上近傍の多重変異における準加算性の検証を行った。その結果、2つの変異部位の距離が近すぎると変異効果の加算性が成立しなくなる傾向があることが判明した。これは、変異効果の加算性が成り立たないリスクを回避するためには重要な情報であり、効率的かつ確実な蛋白質設計方法の確立に必要不可欠な、変異部位の選択方法や、変異効果の加算性の適用限界に関する課題を克服するための一助となった。
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Research Products
(2 results)