2010 Fiscal Year Annual Research Report
自律的にフォールドする短鎖セグメントを起点とした小型人工蛋白質のビルドアップ
Project/Area Number |
22760617
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡邊 秀樹 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (90422089)
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Keywords | 人工蛋白質 / ファージディスプレイ / 分子進化工学 |
Research Abstract |
人工蛋白質の設計指針として、自律的にフォールドする8残基長の極小蛋白質シニョリン(CLN)を起点としたセグメント伸長を試みた。CLNのC末端、次いでN末端領域に8残基ランダムペプチド配列を導入した分子ライブラリーを二段階で設計し、それぞれを第一世代、第二世代とするT7ファージディスプレイライブラリーを調製した。ヒト抗体Fc領域に対する選択操作を行い、第二世代後の選択により得られたクローン2A1を合成ペプチドとして調製、表面プラズモン共鳴(SPR)およびNMRを用いて結合能および3次元構造を決定した。2A1は一般に低親和性を示す化学架橋の無い非環状ペプチドでありながら、平衡解離定数にして26nMの親和性で標的を認識した。溶液中の2A1立体構造は、伸長した両セグメントがCLNのβターンの介在により近接し、全体として球状蛋白質様の構造を形成していた。第一世代選択でアミノ酸配列の収束が見られた部位は主に溶媒側に露出しており、第二世代選択で収束が見られた部位のアミノ酸残基側鎖は分子内部への埋没が確認された。このことは、初期選択で得られた機能性ペプチドが次段階の進化で構造形成を生じると共に高活性を獲得する進化機構の存在を示唆している。同様の観点から、構造不安定性故に機能低下するペプチドの高活性化を試みた。低活性ペプチドのモデルとして、抗体結合性ペプチドFcIIIのジスルフィド結合欠損変異体FcIII-Alaを用いた。CLNを介してC末端、ついでN末端を伸長した第一世代・第二世代ライブラリーを作製し、抗体定常領域に対する選択を行った。SPR試験の結果、取得クローンは結合解離定数7.8nMの高親和性を示しており、数千倍以上の高親和化が可能となった。
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Research Products
(2 results)