2011 Fiscal Year Annual Research Report
自律的にフォールドする短鎖セグメントを起点とした小型人工蛋白質のビルドアップ
Project/Area Number |
22760617
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
渡邊 秀樹 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (90422089)
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Keywords | 人工蛋白質 / ファージディスプレイ / 分子進化工学 |
Research Abstract |
医学・工学プロセスで機能する小型人工蛋白質の作製・機能評価を目的とし、極小蛋白質シニョリン(CLN)を構造規制要素の起点としたセグメント伸長による人工蛋白質設計を進めた。 1. 血管内皮増殖因子(VEGF)結合性人工蛋白質の構築 VEGF受容体に由来するペプチドJe-11を基に、CLNを介して10残基のランダム配列を付加した33残基長の小型蛋白質を提示したT7ファージライブラリーを構築した。選択操作および活性評価に用いる可溶性VEGFとして、大腸菌発現および菌体内封入体リフォールディングによるVEGF大量調製系を構築した。T7ファージライブラリーとVEGFを用いて選択操作を行い、VEGFに結合陽性を示すクローンを濃縮した。ELISAおよび配列解析の結果、数種類のクローンへの有意な収束が認められたため、これらクローンを候補として単離した。溶解性の観点からチオレドキシン融合蛋白質として調製したクローンを用い、表面プラズモン共鳴によってVEGFへの強固な結合を確認した。 2. 人工蛋白質の機能・構造解析 前年度作製したヒト抗体結合性蛋白質2A1の機能解析を進めた。表面プラズモン共鳴を用いた各種条件下での速度論解析により詳細に結合様式を解析した結果、2A1は部分的に構造変化した非天然型構造のヒトIgGを特異的に認識しており、天然・非天然型の相違を完全に織別していた。2AIは変性IgGに対してnMオーダーの高親和性を有しており、これを解析素子とする変性抗体の検出系は、既存の変性抗体検出技術に比べてより高感度の抗体医薬品質管理を実現できる。同様の構築原理に基づいて作製した抗体Fc領域結合性人工蛋白質p17について、p17-Fc複合体構造のX線結晶構造解析を試みた。分解能3.0Åの回折データが得られ、分子置換法による位相決定を行い、構造精密化を進めた。全長51残基の内30残基程度まで明瞭な電子密度を破認しており、Fcとの結合界面におけるアミノ酸残基側鎖の寄与を原子レベルで確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)