2011 Fiscal Year Annual Research Report
複合材航空機の革新的損傷許容設計法の確立に向けた簡易補修技術の提案と実証
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22760621
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水口 周 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (70512359)
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Keywords | 航空機 / 複合材料 / 衝撃損傷 / 構造ヘルスモニタリング / 補修 / 設計法 |
Research Abstract |
機械特性に優れる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の航空機への適用が拡大しているが,耐損傷性等の課題により十分な軽量化に至っていない.こうしたなか,センサ素子を構造と一体化させることで構造の健全性を常時監視し,損傷を自動的に検出する構造健全性診断(SHM)技術に注目が集まっている.SHMシステムは従来非破壊検査に代わる損傷検知技術として航空機への適用が始まりつつあるとともに,将来的にはより軽量なCFRP航空機構造設計を実現するためのキーテクノロジとして期待されている.そこで本研究課題ではSHM技術との融合を見据えた新たな簡易急速補修技術を構築する.損傷の発生をSHM技術で自動的に検知したのち,即座に補修し構造強度を回復させることを目指したものであり,構造健全性診断技術と急速補修技術を併せて用いることで,より大きな損傷の発生を許容することが可能になり,将来航空機のさらなる薄肉・軽量化,より柔軟な運用へとつながると考えられる. 昨年度までの梁試験片を用いた基礎検討をもとに,本年度はより実際の構造に近い板形状の供試体を用いた検討を進めた.まず有限要素解析を援用しつつ,実際の構造と同様のひずみ分布が得られる供試体形状について検討を行い,テーパ部を含めた設計を行った.次に異物衝突や落雷によるダメージを模擬した損傷を導入し,パッチと損傷の相対位置を変化させることでSHM技術の有する損傷検知のあいまいさが補修部の強度に与える影響を評価した.損傷情報にあいまいさがある場合の補修パッチサイズ決定指針を提案するとともに,SHM技術によって検知するべき損傷形状パラメータについて検討を行った.最終的に「損傷を即座に検知する構造健全性診断技術」と「強度を即座に回復する急速簡易補修技術」を融合させることによって初めて可能になる新たな損傷許容概念の枠組みを構築した。
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