2011 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界CO2冷媒を利用した航空エンジン用再生器・中間冷却器の研究
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22760622
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 優 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (10323817)
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Keywords | 航空宇宙工学 / ジェットエンジン / CO_2排出量削減 / 中間冷却器・再生器 / 超臨界CO_2冷媒 / 低燃費 / 高出力化 / 経済性 |
Research Abstract |
本年度は、中間冷却器として用いる圧縮機静翼、および、再生器として用いるノズルガイドベーンの流れ場を模擬する風洞試験を行った。空気源としてルーツブロア(吐出圧180kPa、吐出体積流量15.9m3/分)を使用し、マッハ数0.5程度、流速150m/s程度の空気流を形成できた。供試翼として、伝統的に圧縮機静翼として用いられてきたNACA65シリーズの翼のうちNACA65-(12A2I8b)10翼型(弦長44mm、翼幅28mm)を3枚採用し模擬的に翼列を形成した。材料は実機のチタン合金と同程度の熱伝導率であるステンレス製とした。供試翼はテストセクション内に設置し、食違角、転向角(入射方向と流出方向の角)を任意に変化させた。各翼には、熱輸送媒体の流路であるステンレス管を高熱伝導性接着剤で接着した。熱輸送媒体として、直取りボンベより供給された液化CO2を最大35MPaまでピストンポンプ(最高吐出圧40MPa、吐出体積流量20cm3/分)で昇圧し超臨界流体化した超臨界CO2を持いた。超臨界CO2をマグネットカップリング式ポンプ(ライン圧35MPa、吐出圧500kPa、体積流量5L/分)で3枚の供試翼を通過させ、供試翼前後の温度差から伝熱量を推算した。循環ポンプはを使用した。超臨界CO2流路には、冷却部が設けてあり、供試翼に流入する超臨界CO2と主流空気の温度差を制御した。 本年度の超臨界CO2を用いた実験では、翼-超臨界CO2は十分発達した円管内流中の発達する温度境界層、および、空気-翼の熱伝達率は発達する平板上の温度境界層の理論式より求まる熱伝達率の値に比べて、5倍から10倍程度の非常に高い値を示した。この結果が、超臨界CO2を用いることの影響なのか?それとも、単なる計測ミスか?平板ではなく翼型を用いた影響なのか?原因の究明が次年度以降の課題であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界CO2を用いた実験を計画通り行うことができた。また、翼-超臨界CO2は十分発達した円管内流中の発達する温度境界層、および、空気-翼の熱伝達率は発達する平板上の温度境界層の理論式より求まる熱伝達率の値に比べて、5倍から10倍程度の非常に高い値を示すことを確認した。次年度以降、この非常に良い性能の原因を究明するという研究の方向性を明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べたように、翼-超臨界CO2は十分発達した円管内流中の発達する温度境界層、および、空気-翼の熱伝達率は発達する平板上の温度境界層の理論式より求まる熱伝達率の値に比べて、5倍から10倍程度の非常に高い値を示すことを確認した。この結果が、超臨界CO2を用いることの影響なのか?それとも、単なる計測ミスか?平板ではなく翼型を用いた影響なのか?原因の究明を行うため、以下の方針で研究を行う。1:超臨界CO2を用いる影響かどうかを明らかにするため、水冷媒を用いた実験を行う。2:平板ではなく翼型を用いた影響かどうかを明らかにするため、平板、および、円筒など理論式が確立されている単純形状伝熱面での実験を行う。これらの比較検討により、超臨界CO2を用いた翼型の伝熱性能が非常に高い原因を明らかにする。
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Research Products
(5 results)