2011 Fiscal Year Annual Research Report
電磁力を用いた革新的エアロキャプチャー技術の数値解析的検討
Project/Area Number |
22760624
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
葛山 浩 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80435809)
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Keywords | エアロキャプチャー / 再突入流れ / 電磁流体力学 / 希薄気体力学 |
Research Abstract |
極超音速希薄領域での電磁力エアロブレーキングの成立性を調べるための第一歩として、純窒素大気に突入するはやぶさカプセルを例にとり、簡単なマクロ電磁力モデルを組み込んだ電磁力流れ制御の粒子シミュレーションを行った。電磁力を発生させるためには、当然ある程度気体が電離している必要があるが、粒子シミュレーションの結果、高度80kmおよび飛行速度12km/sの条件において、機体周りの流れは2%程度に電離され、その電気伝導度は3,500S/mとかなり大きい値に達することがわかった。その際の磁気相互パラメータは、1Tの磁場を印加した場合は7,000を越え、この流れ場がブレーキングに必要な電磁力を十分発生しうるとわかった。また、本研究で提案する簡単なマクロ電磁力モデルは、その粒子計算への適用の妥当性をあらかじめ検証しておく必要があったため、2温度熱化学非平衡を考慮したCFDコードの結果と比較し、連続流と希薄流れの中間領域においてはその使用は妥当である事も明らかにした。電磁力エアロブレーキングの粒子計算の結果、抗力は20-50%程度の増大を示し、熱流束も50%程度低減させることができることがわかった。また、機体にかかる抗力は、磁場を印加する位置によって増やすことも減らすこともできることがわかった。つまり、機体の肩付近に強い磁場を印加して、見かけの曲率半径を大きくすると、抗力は増大してブレーキングの効果となり、逆に機体の中心付近に強い磁場を印加すると、見かけの曲率半径が小さくなり、抗力は減少して機体を加速することができると考えられ、磁場印加の位置を最適にコントロールによって、柔軟な突入軌道の選択が可能となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エアロキャプチャーを行う高度80km以上の高高度において十分な電磁力を発生しうることがわかったが、より正確に電磁力の見積もりを行うために必要なホール効果を組み込んだ解析モデルの開発が遅れており、それを用いたさらに高高度での計算がまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
開発済みの粒子計算コードに「電子は流体近似する一方、重粒子は粒子的に扱うDSMC/PIC/Electron-Fluid Hybrid法」を用いる改良を施し、ホール効果の影響を含めたより正確な電磁力の見積もりを行う。
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Research Products
(5 results)