2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760631
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
田中 宏明 防衛大学校, システム工学群, 講師 (90532002)
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Keywords | 衛星搭載用アンテナ / 高精度アンテナ鏡面 / 形状制御 / アンテナゲイン解析 / 軌道上鏡面誤差推定 / 鏡面精度 |
Research Abstract |
本研究では、新しい軌道上形状制御手法による人工衛星搭載用大型アンテナシステムの超高精度化法を提案し、その実現可能性を検証する。提案システムでは軌道上での利用が困難であった従来のアンテナ鏡面の形状計測方法を用いることなく、送受信する電波の強度変化の情報を用いて制御入力を決定、鏡面形状を制御し、超高精度なアンテナ鏡面を達成することができる。 本年度はまず、アンテナシステムの高精度化と有効性評価において重要となる衛星搭載用アンテナの鏡面誤差に関して、近年、多数の衛星搭載用アンテナにて採用されているケーブルネットワーク型アンテナを対象とした数値シミュレーションを実施し、鏡面誤差の解析・評価を行った。特に展開型アンテナ構造における主要な誤差モードである展開非再現性を評価するため、ケーブルネットワーク構造の数値モデル化手法をクリープ変形に関するモデルを基に構築した。そのモデルにより精度の高い鏡面変形の評価が行えることを、数値解析および実験を通して確認した。 次に、それらの鏡面誤差に対してゼルニケ多項式を用いたモード分解・評価を行い、主要な鏡面誤差モードを選定した。鏡面調整機構による制御入力に対する鏡面変形の感度を解析し、選定された誤差モードをより低減できる調整機構位置を選ぶことで、効率的な調整機構配置を設計することができた。 これらの検討結果に基づきスケールモデルの基礎設計(アンテナ構造設計、鏡面調整機構配置の選定)を行った。このスケールモデルは、提案する高精度アンテナシステムの有効性検証試験に用いられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で検討している大型展開アンテナの有効性評価においては、制御すべきアンテナ鏡面誤差を適切に設定する必要がある。そのような鏡面誤差モードの選定のため、衛星搭載用アンテナ構造に広く用いられているケーブルネットワーク型アンテナモデルを想定した鏡面誤差モードに関する追加検討を行った。そのため研究に多少遅れが見られるが、これらの追加検討からは新しい知見が得られ、成果報告につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、平成23年度に基礎設計を行ったスケールモデルの開発を行う。このスケールモデルは、展開可能なアンテナ鏡面と鏡面を変形させる鏡面調整機構を持つ構造であり、受信部に設置されたRFパワーメータを用いて受信電波の強度情報を取得し、その情報を基に形状制御を行うシステムである。さらに、このスケールモデルを用いた高精度形状可変アンテナシステムの有効性実証試験を行う。これまで行った数値シミュレーションとの比較を通して、本形状制御手法の有効性を確認すると共に、計測ノイズによる影響といった実用上での問題点やその影響を洗い出す。
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