2011 Fiscal Year Annual Research Report
波浪中大振幅船体運動と船体への衝撃荷重の粒子法による数値解析手法の開発
Project/Area Number |
22760632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 和也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30462873)
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Keywords | 船舶工学 / 流体 / シミュレーション工学 |
Research Abstract |
開発した粒子法による水波の解析手法を詳細に検証するために、浮体に働く流体力を成分(波浪強制力、付加質量、造波減衰力)ごとに分けてその計算精度を評価した。従来手法である境界要素法(BEM)によって計算された流体力と比較検証した結果、本手法によって求めた流体力はBEMの計算結果と定性的に一致することを検証した。 大振幅船体運動モデルを開発し、大波高時の船体運動を計算した。船体は1つの剛体として計算した。また数値水槽を開発し、船速と入射波を考慮可能にした。数値計算結果を従来手法であるストリップ法の計算結果および実験結果と比較した。結果、それらと定性的に一致する結果を得た。 また開境界部での非物理的な反射波が生じることを低減するために、粒子法の開境界条件を開発した。方法として、波形解析の手法を用いて入射波を分析し、境界部の粒子に解析解を与えた。 次に、開発した粒子法の大振幅船体運動モデルを自由降下式救命艇に適用し、着水時の救命艇に加わる衝撃加速度を求め、実験と比較することで計算手法の検証を行った。また艇の着水時の姿勢(トリム角、ヒール角)と排水量を様々に変化させた計算を行い、艇の着水時の姿勢と排水量が衝撃加速度に与える影響を調べた。救命艇の自由度は6自由度全て固定無しとした。計算量を削減するために、救命艇が滑り台上を滑走し、水面に着水するまでの自由落下運動は、田崎らによる半解析的な手法で計算し、それをMPS法の初期値として与えた。救命艇に働く加速度は、実験と同じく船首部、船体中央部、船尾部の3か所で求め実験と比較し、実験とほぼ一致する結果を得た。 これらの研究成果を国内外の学術会議で発表し、また国際的な学術雑誌(Ocean Engineering)に投稿し掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画したモデル開発と検証解析が達成できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
船体周りの非線形の流体現象を粒子法により高精度に解析可能にするするために、有限体積法で用いられる重合格子法の考え方を粒子法に導入し、局所的に空間解像度を向上させる手法(重合粒子法)を開発する。開発した手法を海水打ち込み等の船体周りの非線形の流体現象に適用する。
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