2010 Fiscal Year Annual Research Report
波浪場における非対称没水構造物を用いた海底近傍の物質輸送の制御
Project/Area Number |
22760638
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
押川 英夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80311851)
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Keywords | 漂砂制御 / 非対称構造物 / 波浪エネルギー / 覆砂 |
Research Abstract |
覆砂による環境改善対策において,二枚貝などの海生生物が棲息可能な覆砂範囲を確保するためには,覆砂資材の移動特性を把握する必要がある.そこで,振動流場に(覆砂の代替資材として期待されている発電所からの副産物として発生する)クリンカアッシュによる覆砂領域を設置して,流体の往復運動に伴う覆砂材の移動特性を画像解析により調べると共に,着色した二枚貝の稚貝を含む覆砂領域を設置して稚貝の挙動についても同様な解析により検討した. クリンカアッシュによる覆砂領域を設置した上で,その表面に撒かれたアサリの稚貝と覆砂資材の往復流による移動特性を検討した.稚貝の平均湿重量は0.0926gで平均殻長は7mm程度であり,クリンカアッシュの中央粒径の2~3倍程度である.ここでは,ホルマリン固定した有明海産のアサリの稚貝の表面を蛍光塗料により着色したものを識別できるようにナンバリングして用いている.また,2つの振動条件(波浪条件に相当)のそれぞれに対して,半円柱型の非対称構造物(直径3.0cm,高さ3.0cm)を設置した場合と設置していない場合の実験を行った.非対称構造物は,覆砂材の拡がりを抑制する向きに20個ずつ覆砂領域の両側に設置している. その結果,覆砂領域の端部に設置された非対称構造物群により,覆砂資材の流失抑制に加えて,ブロック付近の二枚貝の移動が抑制できることが分かった.従って,本工法の適用により,通常5年程度が寿命といわれる二枚貝類の棲息環境改善対策としての覆砂工法の高度化が十分に期待できることが分かった.
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