2011 Fiscal Year Annual Research Report
波浪場における非対称没水構造物を用いた海底近傍の物質輸送の制御
Project/Area Number |
22760638
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
押川 英夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (80311851)
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Keywords | 漂砂制御 / 波浪エネルギー / 非対称構造物 |
Research Abstract |
研究代表者は,非対称な形状を有する小規模な構造物を海底に複数個設置することで,自然エネルギー(波浪)のみを利用して,底質の輸送を可能とする技術の開発を行っている.これまでの研究により,波浪場において非対称構造物の周囲に残差流(波の一周期間の流速の平均値)が生成されることが明らかになってきた.しかしながら現在までの研究成果の蓄積では,種々の波浪条件下において発生する残差流速の大きさを予測することは困難である.そこで残差流速の予測を行うべく,系統的な室内実験により残差流の生成に寄与する無次元パラメータを明らかにして,残差流速を推定するための経験式の導出を試みた. 吸収式造波水槽内に設置された非対称構造物群周りの流れを3次元超音波式流速計で計測し,得られた流速のオイラー平均を取ることで,残差流の空間分布を評価した.その結果,無次元パラメータの影響として以下のような点が明らかとなった.(1)検討された実験条件の範囲内では,無次元構造物高さが小さいほど底面付近に発生する無次元残差流速が大きくなる.(2)クーリガン・カーペンター数(いわゆるKC数)が5から8程度で無次元残差流速が最大となる. これらの結果を踏まえ,本工法における残差流速の評価式の導出を試みたところ,ブロック付近の平均的な2次元の無次元残差流速として近似的に一定値0.067が利用出来ることが判明した.また,より高精度な経験式として,底面付近の残差流速の鉛直分布を評価するための近似式が求められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本工法の適応において特に重要となる無次元パラメータは,KC数と無次元構造物高さであることが明らかとなった.それらを系統的に変化させて実験を行うことで,鉛直2次元波浪場に非対称構造物群が設置された場合に底面付近に発生する残差流速の定量評価が可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が最終的に対象とする実海域は3次元波浪場となるため,特に波向きの影響の検討は必須である.そこで今後は,非対称構造物群に入射する波の方向が異なる状況において構造物群の周りの流速分布の計測を行うことで,波向きを含む波浪条件と構造物の大きさに起因して発生する残差流速の関係性について明らかにする.
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Research Products
(4 results)