2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760645
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
志村 拓也 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, サブリーダー (80359140)
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Keywords | 位相共役波 / 時間反転波 / 海洋音響 / 水中音響通信 / デジタル通信 |
Research Abstract |
本研究では、位相共役波による長距離音響通信における、流れ、および、移動などによる外乱の影響を検証し、通信精度向上の検討を行う。まず、流れのある場、あるいは、移動体との音波伝搬シミュレーションを行って、それらの影響を理論的に検証し、また、その補償方法を検討する。さらに、こうしたシミュレーション結果をふまえて、実海域での実証試験を行う。移動体との実証試験は、受信装置を係留し、送信装置を調査船から曳航して行う。流れのある場での実証試験は、送信装置、受信装置ともに係留して計測を行う。 本年度は、制御回路と電源システムを製作し、既存の送波器と合わせて、送信装置を構築した。実海域試験では、これらの送信装置を用いて、流れの影響の少ない海域において、移動速度約1.5ktまでの通信試験を行い、実データを取得した。 シミュレーションについては、Schmidtらによって考案された、ノーマルモード法に送波点・受波点の移動による影響を組み入れた伝搬シミュレーション手法を確立し、移動体との通信シミュレーションを行った。その結果、1.0m/s程度までの移動速度であれば、位相共役と適応等化を組み合わせた手法によって復調が可能であるとの予想が得られた。また、流れについても、Godinらによって考案されたPE法に流れの影響を組み入れた手法によって伝搬シミュレーションを行い、その影響を検証した。その結果、Activeな位相共役通信に対して、流れの影響は大きく、水深100mの浅海域におけるシミュレーションでは、上層部40m付近までの流速が2m/sに達すると、通信が困難になることが分かった。
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Research Products
(5 results)