2011 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物由来層状複水酸化物による有機化合物の吸着と排水処理への適用
Project/Area Number |
22760653
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村山 憲弘 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (90340653)
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Keywords | 層状複水酸化物 / ハイドロタルサイト様化合物 / アルミドロス / 有機陰イオン / 排水処理剤 / イオン交換 / インターカレーション / リサイクル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、試薬由来またはアルミドロス由来の層状複水酸化物(以下、LDH)を合成した。得られたLDHを用いて、安息香酸イオン、ドデシル硫酸イオンなどの吸着特性を調べた。有機陰イオン種の吸着量とその取り込み経路(陰イオン交換法、共沈法、再構築法)の関連性を見出すことを試みた。有機修飾したLDHを用いてイオン種を形成しない有機化合物(ベンゼン、トリクロロエチレン等)の基礎的な除去能を調べた。非イオン性有機物の吸着量におよぼすLDH表面の疎水性/親水性の影響を検討した。得られた結果を以下に要約する。 試薬から合成した層状複水酸化物とほとんど同じ性質を持つものをアルミドロスから合成できた。LDHによる安息香酸イオンの吸着では、共沈法の場合に最も高い吸着量が得られた。陰イオン交換法による安息香酸イオン、マロン酸イオン、テレフタル酸イオンおよびシュウ酸イオンの吸着等温線の形状はLangmuir型を示した。LDHのイオン交換容量の理論値に対して71-88%に相当する有機陰イオンが吸着された。ドデシル硫酸イオンの吸着等温線もLangmuir型であり、イオン交換容量とほぼ同量のドデシル硫酸イオンがLDHに吸着された。有機陰イオンを取り込んだLDHは、LDH層間での有機陰イオンの配向性に応じてその層間距離が変化した。ジカルボン酸イオンを吸着したLDHの接触角は出発原料であるNO_3^-型LDHの接触角と大差はなく、LDH表面は親水性を示した。検討した有機陰イオンの中では、ドデシル硫酸イオンをLDHに吸着させた時に最も大きい接触角、すなわち疎水性表面が得られた。ドデシル硫酸イオンの吸着量に応じてLDHを接触角は変化するとともに、それに対応して非イオン性有機物の除去能が変化することを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載の研究内容をほとんど全て実行することができ、得られた成果の一部は2編の学術論文としての掲載に至った。この状況に対して、当初の予定通りに進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
界面活性剤等の陰イオン種を保持したLDHに対して、例えば、HT固体表面のぬれ性の評価や表面官能基の同定等、界面化学的な観点からの考察を詳細に行う予定である。イオン性、非イオン性を問わず、発がん性や毒性の強いトルエンやフェノールなどの様々な有害有機化合物を研究対象として追加し、それらを効率よく除去できる吸着剤としての性能を調べることを考えている。実操業に適した吸着プロセスについて解析的および実験的に検討を行っていきたい。
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