2011 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉での適応を目指したプラズマ対向壁表面特性のその場診断法の提案
Project/Area Number |
22760657
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 光貴 島根大学, 総合理工学部, 助教 (80379693)
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Keywords | プラズマ表面相互作用 / 光反射率 / 水素リテンション / 昇温脱離ガス分析 / 分光エリプソメトリー / 微細組織 / 照射損傷 / ヘリウム |
Research Abstract |
本研究では,核融合炉環境を模擬した水素・ヘリウム複合イオン照射下でのプラズマ対向材料のガス保持特性の変化や原子レベルでの損傷組織発達過程を把握するとともに,その特性変化と炉内でも容易に計測可能な表面光反射率等との相関を調べ,プラズマ対向材料の劣化程度の簡便な診断法として提案することを目的としている. 平成23年度は,前年度までに構築した装置系を用い,重水素・ヘリウムの単独および同時照射下での反射率変化のその場測定を行った.また,照射後試料の分光エリプソメトリーによる光学特性やSEM-EBSDによる表面損傷の結晶方位依存性について調べた.さらにLHDの実機プラズマに曝した試料の光学特性評価を行い,イオン照射した試料の分析結果と比較することで,表面光反射率を用いた材料の診断手法の適応可能性について検討した.主要な結果は以下のとおりである. (1)光反射率,光学特性の劣化にはヘリウム照射効果が重要であることが分かっていたが,同時照射においても反射率の減衰は,ほぼヘリウムの照射量のみで支配される事が明らかになった. (2)ヘリウムイオン照射した試料の表面損傷には顕著な結晶方位依存姓が認められ,反射率劣化にも結晶方位が著しく影響する事が予想された.現在,方位の異なる単結晶試料を用いてイオン照射による反射率変化を調べている. (3)LHDの実機プラズマに曝した試料でも有意な光反射率の減衰が確認され,一部の試料においては,イオン照射した試料で同様の光学特性を再現できる事が明らかになった.これは光学測定による炉壁材料の診断手法としての可能性を示唆するものである.一方,顕著な不純物堆積が生じる試料の評価については今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の課題(イオン照射下での動的ガスリサイクリング評価)については当初計画よりやや遅れているものもあるが,一方で,実機プラズマを用いた実験など,計画を前倒しして取り組んでいる課題もあり,全体としては,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,照射材の微視的損傷やガス保持特性に関する評価もあわせて行っており,今後は,これらの表面特性と光学特性の変化とを対応付けることで,プラズマ対向面の劣化状態を簡便に測定可能な光反射率の関数として整理することを目指す.一方,イオン照射下での動的ガスリサイクリングその場測定についても試みているが,高いバックグラウンドのため有意なデータが得られていない.差動排気系の改良や測定器の感度調整,より小さなオリフィスの使用等により改善を試みる予定である.
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