2011 Fiscal Year Annual Research Report
3次元平衡配位における定量的なジャイロ運動論的乱流シミュレーション研究
Project/Area Number |
22760660
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
沼波 政倫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40397203)
|
Keywords | プラズマ・核融合 / ジャイロ運動論的シミュレーション / 乱流輸送 / 大型ヘリカル装置 / イオン温度勾配不安定性 / ゾーナルフロー |
Research Abstract |
大型ヘリカル装置(LHD)に代表される3次元磁場閉じ込めプラズマでの異常輸送機構に対する定量的理解を与えるため、実際の実験を反映した平衡磁場や幾何形状効果を組み込んだシミュレーションコードGKV-Xを用いたシミュレーション解析を進めた。平成23年度では、交付申請時の研究計画に基づいて、下記の成果を得た。 (1)GKV-XコードをLHD高イオン温度放電配位に適用し、イオン温度勾配(ITG)乱流シミュレーションを実行した。実験で得られた異常輸送レベルと揺動スペクトルについて、本シミュレーションが定量的に再現することに成功した。 (2)上記シミュレーション配位、及び真空磁場配位における解析から、ゾーナルフローにより径方向波数領域に引き伸ばされたポテシシャルゆらぎのスペクトルが、最終的な乱流輸送レベルを決定することを発見した。 (3)ポテンシャルゆらぎの非線形乱流成分、及びゾーナルフロー成分のスペクトル構造と、ITG不安定性やゾーナルフロー応答の線形解析との間の強い相関関係を見出した。 (4)上記LHD実験配位におけるシミュレーションでのポテンシャルの乱流成分とゾーナルフロー成分との比、及び乱流輸送レベルとの間に、簡潔な比例関係の存在を発見した。この結果を、別の独立した磁場配位でも確認し、輸送モデル構築に対して大きく貢献できる結果を得た。 (5)GKV-Xコードの検証テストを海外のグループと進め、GS2コードおよびGENEコードとの間の線形シミュレーションで、ベンチマークに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の主目的であった熱輸送係数や揺動スペクトル等の実験観測結果との系統的かつ定量的な比較は、問題なく進展した上、輸送レベルと乱流やゾーナルフローとの間の簡潔な関係性の発見や、乱流スペクトル構造解析を通じたプラズマ輸送の物理機構の理解等、当初の目的以上の成果を得ることができた。その一方で、正確な衝突演算子の導入が完全には完了していないため、上記の達成度とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までの研究成果を受けて、今後は下記の点について研究を推進する。 (1)乱流シミュレーションとLHD実験とのより詳細な比較。前年度にLHD高イオン温度実験結果の再現に成功した乱流シミュレーションの対象を他の放電にも広げ、より定量的な解析を進める。 (2)3次元配位プラズマにおけるイオン熱輸送のモデリングの推進。前年度に発見した、輸送レベルと乱流及びゾーナルフローとの間の関係性を基に、上述(1)等で得られる多くの解析結果を基に輸送モデリングの指針を探る。 (3)コードの非線形ベンチマーク。海外グループとの検証テストを非線形計算に広げる。 (4)正確な衝突効果の導入。前年度に引き続き開発を進め、今年度の早い段階で完了する。
|
Research Products
(15 results)