2012 Fiscal Year Annual Research Report
3次元平衡配位における定量的なジャイロ運動論的乱流シミュレーション研究
Project/Area Number |
22760660
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
沼波 政倫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40397203)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / ジャイロ運動論的シミュレーション / 乱流輸送 / 大型ヘリカル装置 / イオン温度勾配不安定性 / ゾーナル・フロー |
Research Abstract |
大型ヘリカル装置(LHD)のように複雑な3次元構造を持つ磁場閉じ込めプラズマにおける乱流輸送に対して定量的な理解を深めることを目的としている本課題において、平成24年度では、代表者が開発したGKV-Xコードによる3次元配位でのジャイロ運動論的乱流輸送シミュレーション研究を進め、下記の成果を得た。 (1)様々な計算条件(温度・密度勾配長、磁気シア、磁場配位等)におけるイオン温度勾配(ITG)乱流シミュレーションを実行した。LHD実験で得られた異常輸送レベルを定量的に再現していることを確認した上、乱流揺動ポテンシャル及びゾーナルフロー振幅により、計算条件に依らない簡潔的な形で、ITG乱流輸送レベルが表現できることを発見した。 (2)上記での乱流揺動ポテンシャルとゾーナルフロー振幅は、それぞれ、ITG線形不安定性成長率とゾーナルフロー・ポテンシャルの線形応答関数によって表現し得ることを見出し、(1)で得られた簡潔的な関数形に代入することで、ヘリカル・プラズマのITG乱流輸送に対する非常に再現性の高い簡潔輸送モデルの構築に成功した。 (3)GKV-Xコードの検証テストを海外グループと進め、LHD磁場配位における不安定性解析を米国のGS2コード、およびドイツのGENEコードとの間で実行した。解析結果から、各物理量の一致を確認し、ベンチマークに成功した上、それぞれの計算手法の差異による特性に関する課題を明確にすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の最大の目的であった熱輸送係数や揺動スペクトル等の実験観測結果との系統的および定量的な比較は当初の予定通りに進展した上、乱流輸送レベルが、乱流揺動やゾーナルフローにより簡潔的な形式で表現し得ること、さらにその簡潔形式から新しい乱流輸送モデルを提案できたことは当初の目的以上の成果であった。今後、さらに様々な条件下でのシミュレーション解析を進める必要もあるため、上記の達成度とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までの研究成果を受けて、最終年度である平成25年度は下記の点について研究を推進する。 (1)様々な計算条件下での乱流シミュレーションの実行: 前年度までに行ったシミュレーション解析に加えて、他の放電ショットや、異なる3次元配位(W7XやNCSX等)においても解析を進め、3次元プラズマの乱流輸送に対する、より一般的な物理特性を明らかにする。 (2)より簡約化された乱流輸送モデルの構築: 線形解析のみで得られる乱流輸送モデルにおいて、不安定性の線形特性と各物理量との相関関係を中心に調べ、より簡易的な輸送予測を可能にするモデル構築を目指す。 (3)GKV-Xコードの非線形ベンチマーク: 海外グループとの検証テストを非線形計算に広げる。
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Research Products
(15 results)