2011 Fiscal Year Annual Research Report
高βヘリオトロン核融合炉を想定したMHD不安定性に与える3次元効果の検証
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22760661
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
成嶋 吉朗 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40332184)
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Keywords | 磁気島 / ヘリオトロン / MHD不安定性 / ポロイダルフロー |
Research Abstract |
ヘリオトロンプラズマにおける磁気島のダイナミクスとポロイダルフローとの相関について、実験データの取得と理論的考察を行った。磁気島の拡大から縮小への遷移に加え、縮小から拡大へ遷移する際のポロイダルフローの変化を実験で観測することができた。プラズマ応答磁場の観測から、その回転方向は遷移の向きによって異なり、その向きはポロイダルフローの変化と矛盾がないことが分かった。さらに、磁気島遷移時のポロイダルフローの閾値に差異がみられることが明らかになった。この実験事実を電磁トルクと粘性トルクとのバランスで記述される理論モデルを用いて検討した結果、矛盾なく説明できることを示唆する結果を得た。これらの結果は、第38回プラズマ物理に関する欧州会議及び第53回プラズマ物理に関するアメリカ物理学会ならびに第16回MHD安定制御のためのワークショップの国際会議で発表された。従来は磁気島の構造がポロイダルフローに影響を与えるものであると考えられてきていた。磁気島の過渡的な現象を詳細に調べた本研究によって、ポロイダルフローは磁気島構造そのものを修正する能力があることを実験的に見出した。これは、これまでの考えに対して新しい知見を与える意義を持つ発見である。環状磁場閉じ込めプラズマ共通の課題として、磁気島の成長による各種不安定性の発生が挙げられる。特に、内部電流系プラズマのトカマクでは、それは磁場配位の崩壊につながる。一方、外部電流系であるヘリオトロンでは、磁気島の成長による磁場配位の崩壊がないため、磁気島の詳細な観測を通じた新たな知見を得ることができる。本研究は、ペリオトロンプラズマのみならず、環状磁場閉じ込めプラズマ共通の磁気島物理の研究に寄与する重要性を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験の遂行にあたり、実験機器・計測機器のトラブルが皆無で、当初の予想以上に良質な実験データの取得が進んでいる。また、実験結果の解釈にあたり、国際学会などの場面で多くの理論家どの有意義な議論がなされたため、当初の計画以上にその理解が深まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでの実験結果をまとめ、特に理論的背景に基づいた実験結果の解釈を行う。国際学会で発表し、論文を投稿する。研究計画の変更ある.いは研究を遂行する上での問題点は見当たらない。
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Research Products
(6 results)