2011 Fiscal Year Annual Research Report
強いプラズマ流を伴う輸送障壁の形成機構についての研究
Project/Area Number |
22760663
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮戸 直亮 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (80370477)
|
Keywords | プラズマ流 / 磁場閉じ込めプラズマ / 簡約化モデル / 流体モーメント / 案内中心 / ジャイロ運動論 |
Research Abstract |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおいては、強い縦磁場のため、荷電粒子は磁力線に巻き付いた旋回運動をする。一方、粒子・熱の輸送現象は、この旋回運動よりも遅い時間スケールで起こるため、その解析においては、速い旋回運動を分離した簡約化モデルが広く用いられてきた。この簡約化運動論モデルから評価される密度、温度や流速などの流体的諸量は旋回中心(案内中心)において評価されたものであり、実験的に観測される物理的な流体的諸量とは一般に異なる。これらの差は強いプラズマ流と急峻な圧力勾配を伴う輸送障壁領域においてより大きくなる。本研究では、そのような強いプラズマ流がある場合を取り扱える2つの異なるモデルを比較し、モデルの定式化における案内中心の定義の違いが、案内中心での流体諸量と物理的な流体諸量との間の関係(「流体モーメントの押し出し表現」と呼ばれる)に及ぼす影響を明らかにした。また、近年、核融合プラズマの微視的(短波長)乱流の解析に用いられている標準的なジャイロ運動論モデルでは、新古典流のような長波長揺動成分を計算するのに不十分ではないかという問題が議論されているが、これまで研究を行ってきた流体モーメントの押し出し表現の観点からこの問題について考察した。その結果、静電ポテンシャルの計算に用いられるジャイロ運動論的準中性条件において、長波長領域においては標準ジャイロ運動論モデルでは考慮されていない高次の寄与を含める必要があることを見通しよく示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、微視的なプラズマ乱流と平衡流を含むプラズマ分布との相互作用を明らかにすることが重要であるが、微視的(短波長)乱流の解析に通常用いられるジャイロ運動論モデルで、背景分布などの長波長成分を取り扱うことに問題があることがわかり、モデルの拡張について検討する必要が生じたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
前項にあるように、ジャイロ運動論モデルによる長波長成分の取り扱いには問題があることがわかったが、前年度の研究により、モデルを拡張せず適用できる領域、および長波長成分を取り扱うために必要な拡張について理論的に明らかにすることができた。この拡張部分を数値計算で実装するにはさらに検討を要するため、その対応策としてそのような拡張を必要としない領域での解析を行うこととする。
|