2012 Fiscal Year Annual Research Report
強いプラズマ流を伴う輸送障壁の形成機構についての研究
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22760663
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮戸 直亮 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (80370477)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁化プラズマ / ジャイロ運動論 / 相空間変換 |
Research Abstract |
磁場閉じ込め核融合プラズマ中の粒子・熱輸送現象の理論・シミュレーション研究には、荷電粒子の磁力線周りの速い旋回運動を分離したジャイロ運動論モデルと呼ばれるモデルが広く用いられている。標準的なジャイロ運動論モデルは、案内中心変換とジャイロ中心変換という2段階の相空間の変換を通して、粒子位置・粒子速度から成る粒子相空間から、粒子の旋回運動を無視できる相空間(ジャイロ中心相空間)へ移ることで定式化されるが、その変換では短波長の微小揺動が仮定されており、この仮定を越える領域で標準モデルが適用可能かどうかについては明らかではなかった。これまでの研究で、静電ポテンシャルの長波長成分を求めるときには、標準モデルでは無視されていた粒子位置とジャイロ中心位置の関係における高次の変位ベクトルの寄与が無視できなくなることを示していた。この高次の変位ベクトルは磁場の非一様性によるものである。当該年度は、これを磁場揺動を含むより一般的な場合について、単一荷電粒子運動の相空間ラグランジアンの段階から定式化を見直し、高次の効果を含む電磁的ジャイロ運動論モデルを構築した。高次の効果を考慮すると、静電ポテンシャルの式だけでなく磁場ポテンシャルのポアソン方程式において高次の補正項が現れる。また、そのような高次の補正項が重要となるのは、球状トカマクのようなトーラスのアスペクト比が小さいトカマクなどで、装置サイズの長波長揺動を取り扱う場合に限られる。したがって、通常のトカマクを考える場合、磁場の非一様性による高次の効果を考慮する必要は無く、これまで研究を進めてきた強いプラズマ流を含むジャイロ運動論モデルを用いることが出来ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強いプラズマ流を伴う輸送障壁が形成される段階では、強いプラズマ流を含むモデルを用いることができるが、輸送障壁の形成される前は磁化プラズマの乱流シミュレーションに広く用いられているジャイロ運動論モデルの適用範囲であると考え、乱流シミュレーションには、強いプラズマ流を考慮した拡張ジャイロ運動論モデルの使用を考えていた。しかし、標準ジャイロ運動論モデルは短波長・小振幅の揺動を想定して定式化がなされており、このモデルで長波長成分を取り扱うことに関して問題が無いかどうか明らかではないことが判明した。そのため、この点を定式化の段階から確認する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
ジャイロ運動論モデルの定式化の段階から見直した結果、通常の場合、磁場の非一様性による高次の効果を考える必要はなく、強いプラズマ流の効果だけ考慮すれば良いことが明らかになったので、今後、従来の方針どおり強いプラズマ流を考慮した拡張ジャイロ運動論モデルによる数値計算コードの開発を進める。
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