2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビームによる微細加工用高分子のイオン化ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
22760669
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡本 一将 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10437353)
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Keywords | パルスラジオリシス / 極端紫外光 / リソグラフィ / レジスト / 自由電子レーザー / 電子線 / ポリスチレン |
Research Abstract |
微細加工用材料であるレジスト薄膜のイオン化とその後の酸生成に伴う素反応について明らかにすることは、将来の半導体加工寸法の縮小化にとって重要である。そこで、レジスト内でのイオン化後の微視的電荷ダイナミクスの詳細を極端紫外光(EUV)や電子線を用いた量子ビームを励起源とする分光法によって明らかにして、EUVリソグラフィ用の高い解像度、加工精度および感度を満たすレジスト材料実現に向けての放射線化学的な知見を得ることが目的である。本年度の研究により以下の成果を得た。 1.EUV自由電子レーザー(EUVFEL)を用いた薄膜用イオン化装置の構築 数十ナノメートルオーダーの極薄膜の分光実験を実現するため、理化学研究所(播磨研究所)内に設置されているEUVFEL(20eV)を照射源とした新規分光測定系の構築を行った。 2.EUV、電子線による励起を用いた薄膜中での酸形成 レジストモデル高分子薄膜にEUVFELもしくは電子線露光装置を用いて照射を行い、各レジストモデル薄膜より生成する酸収量について、酸の指示薬をレジスト内に混合させることによって分光的に定量を行った。またパルスラジオリシス法を組み合わせることによって、ポリ(スチレン-アクリレート)共重合体での酸の収量と分子ダイナミクスの相関を明らかにした。 3.パルスラジオリシスを用いた高分子のイオン化後の時間分解測定 レジストのモデル化合物であるポリスチレン、ポリメルメタクリレート等の高分子にナフタレン、ベンゾフェノン等を添加した薄膜からの、ナノ秒時間分解の蛍光もしくは、燐光測定を上記装置を用いて行った。それぞれの量子収率を求めることにより、EUVFELの光子エネルギーおよび照射フラックスを変化させることによるイオン化ダイナミクスの変化(スパーの重なりや配置)に基づく(一重項/三重項)生成比に対する依存性を明らかにした。
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