2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22760679
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
青柳 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究職 (80446400)
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Keywords | ウラニル錯体 / イオン液体 / クロミック材料 / レーザー分光 |
Research Abstract |
多価金属であるアクチノイド元素(ウラン,ネプツニウム,プルトニウムなど4価以上の酸化数をとるもの)には,溶媒和したイオンが溶液中で一定濃度以上の場合,原子価に応じて鮮やかな色彩を帯びるものが多い.ウラニル錯体は発光性も有する.このことはこれらがクロミック物質であることやエレクトロルミネセンス材料として候補材料となりうることを暗に示唆するものであるが,そのような報告はこれまでなかった. 3価ランタノイド錯体のチオシアン酸錯体が鮮やかに呈色するという報告に着想を得て,1-アルキル-3メチルイミダゾリウム ウラニルペンタキスイソチオシアナト塩([C_nmin]_3[UO_2(NCS)_5](n=2,4))を合成しこの化合物群が変色現象(サーモクロミズム)を示すことを発見した.この錯体では,ウラニルの赤道面状に配位したイソチオシアナト基への結合に関して,結合距離の異方性と配位数変化がクロミズムに関係しているということを明らかにした.特徴的であるのは,この5配位錯体の中で,ウラニルが等価な4配位,5配位,6配位の時のU-N結合距離を全て有するという独特の構造である. この結合距離の異方性こそがクロミズムと関係しており,フレキシブルな構造変化を温度変化によって引き起こすことが示された.この異方性は,おそらくは,イミダゾリウムカチオンとチオシアン酸配位子の水素結合的相互作用によって配位子の配座環境が変化した結果もたらされると考えられる.ウラン化合物で予想されなかった現象が見出された点が意義深く,新たな概念の創出を狙ったアクチノイド研究はますます重要となるであろう.
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[Journal Article] Laser-induced fluorescence and infrared spectroscopic studies on the specific solvation of tris (1-(2-thienyl)-4,4,4-trifluoro-1,3-butanedionato)-europium (III) in an ionic liquid2012
Author(s)
H.Okamura, H.Sakae, K.Kidani, N.Hirayama, N.Aoyagi, T.Saito, K.Shimojo, H.Naganawa, H.Imura
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Journal Title
Polyhedron
Volume: 31
Pages: 748-753
DOI
Peer Reviewed
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