2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分子がつくるナノ構造を利用した高レベル放射性廃液からの希少元素の再生
Project/Area Number |
22760683
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
元川 竜平 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50414579)
|
Keywords | 原子力エネルギー / ナノ材料 / 放射線・X線・粒子線 |
Research Abstract |
平成22年度は、ランタノイドやアクチノイドイオンを高効率で認識する有機配位子が導入されたモノマーの合成を行った。このモノマーはその分子骨格中にフェナントトロリンアミド(PTA)とラジカル重合性が高い炭素-炭素二重結合を併せ持つ新規な化合物であり、高い酸濃度領域でもアクチノイドと選択的に錯形成を起こす。そのためPTAモノマーは、本研究を遂行する上で重要な物質として位置付けられる。 まず、P-toluidineに2-(tert-Butoxycarbonylamino)ethyl bromideを付加させてBoc保護基を有するアミン化合物(a)を得た。次に8-aminoquinolineとcrotonaldehydeをNaI下、硫酸中110℃で一晩還流した後、反応液をヘキサン中に滴下して2-methyl-1,10-phenanthrolineを高収率で得ることに成功した。得られた物質のメチル基を硫酸中、過マンガン酸カリウムで酸化することで1,10-phenanthroline-2-carboxylic acidを単離した後、このカルボキシル基を塩化チオニルで塩素化して、はじめに合成したアミン化合物(a)とカップリングさせた。さらにトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて保護基(Boc基)を脱保護することでPTA骨格を有するアミン化合物(b)を得ることに成功した。最後に、このアミン化合物(b)とN-acryloyl succinimideをアミド結合で縮合して最終目的物であるPTAモノマーを得ることに成功した。このモノマーは、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤で重合し、ポリマー化できることを明らかにしている。また、PTA-モノマーのランタノイドやアクチノイドノイドに対する錯形成挙動についての検討を始めている。
|