2010 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラー水素製造のためのプロトタイプ流動層反応器の開発
Project/Area Number |
22760689
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
郷右近 展之 新潟大学, 超域研究機構, 准教授 (20361793)
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Keywords | 水素 / 再生可能エネルギー / フェライト / 高温太陽熱 / 流動層 / 水熱分解サイクル / 湿式酸化法 / 反応器 |
Research Abstract |
800~1500℃程度の高温太陽集熱を利用し、水の二段階熱分解により水素を生成する「二段階熱化学サイクル」に関する研究開発が欧米諸国を中心に急速に注目されている。本研究の最終目標は、『反応性セラミック粉体の流動層によるプロトタイプ反応器』を開発し、ビームダウン集光太陽炉による太陽炉試験を5-10kW級で実施し、反応器の反応・エネルギー効率を明らかにすることである。本年度の研究実施計画の項目について得られた主な成果を以下に示す。 1)高温流動性に優れた高活性反応性セラミックの開発 水の二段階熱分解により水素を生成するための反応媒体として、新規反応性セラミックNiドープFe-YSZ系の水熱分解性セラミックを開発した。この反応性セラミックの活性・サイクル反応性を二段階水熱分解試験により調査した。二段階熱化学サイクルによりNiとFeが高融点のYSZ粒子に高温で固溶し、Ni-Fe-YSZ粒子が形成される。この粒子内部で鉄イオンの価数変化が生じることをX線回折と化学分析で確認した。 2)反応性セラミック流動層の5kWプロトタイプ反応器の開発 直径85mm、試料充填量約800gの反応性セラミックを充填した内循環流動層反応器を5kW級で設計製作した。反応器はステンレスで作製され、高温となる流動層部にはインコネル合金を採用した。反応器上部には太陽集光を照射できる石英窓を有しており、流動層の反応粒子が直接加熱されるソーラー反応器である。 (3)5kW太陽炉シミュレーターによるプロトタイプ反応器の反応試験と速度論的解析 大型5kW太陽炉シミュレーター(出力7kW×3灯)による照射試験では、反応器から生成する水素濃度をTCDガスクロマトグラフで測定・分析した。水素生成速度は反応時間の経過により低下せず、ほぼ一定の生成速度が得られる反応器条件を見出した。また、照射条件および反応条件の検討した結果、最大で約5Lの水素生成を実現した。
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