2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラー水素製造のためのプロトタイプ流動層反応器の開発
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22760689
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
郷右近 展之 新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 准教授 (20361793)
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Keywords | 水素 / 再生可能エネルギー / フェライト / 高温太陽熱 / 流動層 / 水熱分解サイクル / 湿式酸化法 / 反応器 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画の項目について得られた主な成果を以下に示す。 ビームダウン集光システムによるプロトタイプ反応器の照射試験 プロトタイプ反応器として、生成する酸素と水素を分離できる2塔式内流動層ソーラー反応器を新たに開発した。これまでの研究では生成する酸素と水素のガス分離が問題であったが、本年度はガス分離問題に焦点を当て研究開発を実施した。この反応器は二段階反応の第一ステップである熱還元反応が進行する熱還元室と、第二ステップである水熱分解反応が進行する水熱分解室により構成され、これらの反応室が上部と下部に設けられた連通口により接続された構造から成る。この反応器構造により反応粒子が内循環流動するため二段階反応を一段階システム化することが可能となり、各反応室で生成する酸素と水素を分離できることを5kW太陽炉シミュレータM(出力7kW×3灯)による照射試験で実証した。すなわち、最適な反応性セラミック粉体として酸化セリウム粒子を選定し、反応器の各反応室から生成する酸素および水素濃度の経時変化を質量分析器で測定・分析した。酸素生成速度は反応初期に大きく次第に低下するがほぼ一定速度に収束し安定する、これに対し水素生成速度は反応時間の経過により次第に増加し、ほぼ一定の生成速度となることが分かった。この結果から、酸素と水素の生成比がほぼ1:2となり化学量論的に水熱分解が進行することが示唆された。照射条件および反応条件の検討した結果、本反応器により酸素約850Ncm^3、水素約1300Ncm^3の同時生成を実現した。この成果に基づき、この反応器システムによる水熱分解法及び装置に関して国内特許を出願した。
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