Research Abstract |
1)昨年度までは,蒸気生成,吸着材再生それぞれのプロセスのみを検討してきたが,本年度は,蒸気生成および吸着材再生工程を繰り返し行うサイクル実験を行った.実験には約0.26kgの13Xゼオライトを用いた.大気圧下で80℃の温水を導入して1気圧の飽和蒸気の生成を試みた.本研究では,吸着材再生時間を1200s,3600sの2種類で,それぞれ5-6サイクルで連続運転した.その結果,いずれの再生時間でも最大200℃の過熱蒸気を生成でき,蒸気生成を実証できた.生成蒸気量は,熱収支から得られる理論蒸気量の8割以上であった.再生工程の時間が短いほど1サイクルあたりの生成蒸気量は減少するが,単位時間あたりの生成蒸気量は増加することが示唆された. 2)高圧(常圧以上の圧力)の飽和蒸気生成を検討した.蒸気生成器の蒸気排出部にリリーフ弁(圧力調整弁)を設置し,所定の圧力を超えた場合に弁が開放され,蒸気が取り出せるようにした.その結果,2気圧および4気圧蒸気生成を実証した.圧力が高くなるにつれ沸点が上昇するため,熱損失の影響が大きくなることがわかった.さらなる高圧蒸気生成には熱損失の十分な対策が必要であることが示唆された. 3)操作条件がそれぞれめ工程へ及ぼす影響を検討するため,移動現象および吸着・脱着現象を考慮した数値解析モデルを作成した蒸気生成工程では,装置内部の温度分布および生成蒸気量を妥当に推算することができた.また,解析により,水導入温度よりも,生成器内初期温度を高くする方が生成蒸気量の増加に有効であることが示唆された.再生工程では,解析モデルで反応器内温度空気出口温度の経時変化をほぼ予測することができた.このモデルを利用して効率予測が可能となった.
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