2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンと多機能性転写因子による染色体現象の統合的制御機構
Project/Area Number |
22770003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 貴富 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30451850)
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Keywords | 染色体 / ヒストン / 多機能性転写因子 |
Research Abstract |
染色体DNAは複製、転写、組換えなどの多彩な代謝現象の舞台となる。これらの現象群は全て生命活動を根幹から支えており、適切な反応が適切な状況において起こるよう統合的に制御されていると思われる。私は、その制御機構を明らかにすることを目指し、分裂酵母のヒストンとAtf1-Pcr1とよばれるタンパク質に注目して研究を行っている。前者は最も主要な染色体タンパク質であり、後者はATF/CREBファミリー転写因子からなるヘテロダイマーで転写や相同組換え等複数の染色体現象を制御する多機能性DNA結合転写因子である。本研究では、それらが特に転写と組換えを活性化する際の分子的特徴や役割を明らかにする。 平成22年度においては、Atf1-Pcr1が転写を活性化している場合と相同組換えを活性化している場合の二つに注目し、(1)Atf1-Pcr1の機能部位、(2)Atf1-Pcr1の結合部位周辺でのヒストン修飾状態、を検討し、次の結果を得た。 (1)酵母One-Hybrid法を用いて、Atf1の転写活性化ドメインを同定した。このドメインを欠損した株を作製し、解析したところ、ストレス応答遺伝子の転写が部分的に抑制されることがわかった。 (2)転写、相同組換えの二つの場合において共通に見られる修飾、どちらか一方に特有な修飾が見られることがわかった。 (1)の知見は、Atf1の多機能性の分子基盤に迫るための大きな手がかりになると期待できる。また、(2)の知見はAtf1がヒストンの修飾を介して下流の現象を制御することを示唆しており、複数の染色体現象が共通の因子により制御される機構を考える上で重要である。
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