2010 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色分体間に特異的に接着を形成するためのメカニズム
Project/Area Number |
22770005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須谷 尚史 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30401524)
|
Keywords | 染色体 / 姉妹染色分体 / コヒーシン / アセチル化 / 脱アセチル化 / DNA複製 |
Research Abstract |
DNA複製より生じた姉妹染色分体対はコヒーシン複合体で接着され解離しないようになっている。近年の研究により、コヒーシンサブユニットSmc3のアセチル化酵素Eco1によるアセチル化が接着の形成時に重要な働きをすることが示されている。本研究課題は、このSmc3アセチル化が細胞周期においてどのように制御されているか解明することを目的としている。 本年度の成果は次の通りである。 1、Smc3の脱アセチル化酵素として出芽酵母Hos1を同定した。一連の解析により、Hos1は一度接着を担ったコヒーシンを脱アセチル化することで、次の細胞周期での再利用を可能にしていることが見いだされた。以上の結果を英国オックスフォード大学のKim Nasmyth研究室との共同研究の形でMolecular Cell誌に発表した。この発見はコヒーシンを制御する重要な因子を新規に見いだしたものである。 2、DNA複製時にSmc3が効率よくアセチル化されるために必要な因子としてCtf4,Ctf18,Wpl1/Rad61を同定した。これら因子の染色体上での挙動の解析より、DNA複製と共役してSmc3アセチル化が誘導されるメカニズムについての新規なモデルが得られた。現在このモデルの検証実験を進めているところである。 3、染色体上のコヒーシンに結合している因子としてM期キナーゼであるポロキナーゼ(Cdc5)を同定し、またこのCdc5のコヒーシンへの結合はEco1に依存していることを見いだした。現在この結合の生理的意味についての解析を進めている。これらの結果の一部を先行して、イタリア・ミラノビコッカ大学Simonetta Piatti研究室との共同研究の形でJ.Cell Biol.誌に発表した。 以上のように、研究の目的の達成へ向けて本年度は研究を十分進展させることができたと考えている。
|