2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖細胞形成におけるSINE配列のDNAメチル化ダイナミクスと機能制御
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22770009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一柳 健司 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70401560)
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Keywords | レトロトランスポゾン / エピジェネティクス / 生殖細胞 / DNAメチル化 / クロマチンバウンダリー |
Research Abstract |
哺乳類の生殖細胞形成過程では、DNAメチル化マークは始原生殖細胞で一旦消去され、その後再メチル化されるが、再メチル化がゲノム全体にわたってどのように制御されているかは不明である。我々はマウスの代表的なレトロトランスポゾンの一つであるB1 SINEに注目し、各発生段階の雄性生殖細胞におけるDNAメチル化状態をローカスごとに解析した。さらにpiRNA合成系およびDNAメチル化酵素の変異体マウスの精原細胞でも解析を行った。 B1配列は始原生殖細胞において低メチル化状態で、前駆精原細胞で再メチル化され、その後、発生を通してメチル化されており、ゲノムワイドなメチル化ダイナミクスに従っていた。しかし一方、遺伝子プロモーターの近くに存在するB1は非メチル化状態にあり、興味深いことに近傍遺伝子は精巣特異的に高発現していた。多くの遺伝子はプロモーターにB1配列を含まないが、B1を含む遺伝子は精巣特異的なものが多い。これらの結果はB1配列とそのメチル化が近傍遺伝子の転写パターンを制御している可能性を示唆している。また、前駆精原細胞ではB1由来のpiRNAが産生されているが、これらのpiRNAが存在しなくてもB1メチル化には影響せず、piRNAはB1のde novoメチル化に必要ないことが分かった。さらに、Dnmt3a、Dnmt3bおよびDnmt3L変異体を調べたところ、B1メチル化はDnmt3a変異体において最も低下していた。このDnmt3a依存性は遺伝子が少なく、核膜周辺部に局在するゲノム領域で特に顕著であった。今後はこれらのメチル化解析結果を用いて、B1配列のクロマチンバウンダリー活性について解析する。
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[Journal Article] Role for piRNAs and non-coding RNA in de novo DNA methylation of the imprinted mouse Rasgrf1 locus.2011
Author(s)
Watanabe, T., Tomizawa, S., Mitsuya, K., Totoki, Y., Yamamoto, Y., Kuramochi-Miyagawa, S., Iida, N., Hoki, Y., Murphy, P.J., Toyoda, A., Gotoh, K., Hiura, H., Arima, T., Fujiyama, A., Sado, T., Shibata, T., Nakano, T., Lin, H., Ichiyanagi, K., Soloway, P.D., Sasaki
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Journal Title
Peer Reviewed
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