2010 Fiscal Year Annual Research Report
湖における微生物サイズ分布動態の解析とその進化適応動態理論の構築
Project/Area Number |
22770015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉山 浩平 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (90402750)
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Keywords | 湖沼細菌群集 / 群集生態学 / 数理モデル / 環境動態解析 / 陸水生態学 |
Research Abstract |
平成22年度は琵琶湖における細菌6系統群(α、β、γプロテオ細菌、CFクラスター、アクチノ細菌、古細菌)に対し、カーネル密度推定法を用いて細胞サイズの確率密度分布を推定した。得られた結果から、最終年度である平成23年度は、細菌の細胞密度分布に関して提案した仮説群(申請書を参照)を統計解析により検証する。 データ解析と並行して、細胞周期を考慮した細胞サイズ分布動態モデルの構築を開始した。平成22年度は、de Roosにより考案されたEscalator-Boxcar-Train法を用いた数値計算法を単独の主により構成されるモデルを用いて検討した。なお、これはPascualとCaswell(1997)の追試に相当する。平成23年度には多種からなる群集動態モデルの数値実験を行い、野外データにより得られた細胞サイズ分布パターンとの比較を行う。 当研究課題と関連して、平成22年度は微生物の細胞サイズと生態系における機能に関するレビュー(Litchman et al.2010 Hydrobiologia)、および植物プランクトンの光一成長曲線の特徴とと分類群、細胞サイズの関連に関する研究(Schwanderer et al.2011 Limnology&Oceanography)を出版した。また、微生物の細胞サイズに関わる諸問題をYoshiyama(2010数理解析研究所講究録)や日本陸水学会における招待講演にて紹介した。 水域生態系における分解者である浮遊性細菌において、細胞サイズその機能を表す重要な形質であることはすでに広く認識されている、しかし浮遊性細菌の遺伝的多様性と細胞サイズのバリエーションの関係は全く未解明である。本研究課題を通して、細菌系統群の進化と細胞サイズの進化の関係が解明されることが期待される。また、水温などの環境要因と細胞サイズの関係など、これまで野外データを用いて検証されていない仮説に関する検証を行い、野外細菌群集に関する新しい知見を提示していく。
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Research Products
(4 results)