2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケラの音声コミュニケーションにおける巣穴の機能の解明
Project/Area Number |
22770016
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
遠藤 千尋 新潟大学, 自然科学研究科, 研究員 (20569024)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 認知行動 / 生物音響 / 構造物 / 生態学 / 昆虫 |
Research Abstract |
動物のつくる構造物が、変動する環境や状況の下でその機能を十分に発揮するためには、構造と機能の間にフィードバックによる調節機構が働いているはずである。ケラの音声コミュニケーションに使われる巣穴(鳴き穴)の構造には、鳴き音を増幅させる効果があると予測される。この巣穴構造と音響増幅機能の間に、フィードバックによる調節機構がどのように働いているのか、情報の認知と行動の関連性から明らかにすることは、構造物の機能の進化を考える上で非常に重要なアプローチである。 雌雄の音声の区別と鳴き穴の構造を把握した上で、巣穴構造と音響増幅機能の間にフィードバックによる調節機構がどのように働いているのか、情報の認知と行動の関連性を実験的に調べた。なお、実験には採集地域と翅型を区別して行った。 (1)雌雄の音声の種類の音響解析について:メスの音声は、飼育下においては、ほとんど録音することが不可能であった。オスについては、連続的な求愛音、2匹が接近した時に発する闘争的な要素の強い、断続的な音声と少なくとも2種類に分けられることがわかった。翅型間の音声の違いについては、録音条件によるものなのかどうかも含めて、繊細な問題であるため、詳細に検討中である。 (2)鳴き穴の構造と音響増幅機能の調節機構の解明について:オスの鳴き始めは音量が小さく、音が揺らいでいるのに対し、数回の中断をはさみながら、徐々に音量が大きくなっていき、純音に近づいていく傾向がみられた。これは、自らの音声を何らかの方法で認知し、その情報を巣穴の形状または鳴き方にフィードバックさせていることを示唆するものである。そこで、ノイズ音による認知の撹乱実験、巣穴の模型を用いた音響効果を検証する実験を行った。これらの結果を詳細に解析し、巣穴構造と音響増幅機能の間に、どのような調節機構が実現されているのかをまとめ、論文化する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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