2012 Fiscal Year Annual Research Report
超深海に固有の生物相はあるか?:海溝周辺の小型底生生物群集の空間変異
Project/Area Number |
22770022
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
嶋永 元裕 熊本大学, 沿岸域環境科学教育研究センター, 准教授 (70345057)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 海洋 / 生態学 / 群集 / メイオファウナ / 深海 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本周辺の沈み込み帯のうち,千島海溝,南海トラフ,琉球海溝周辺海域におけるメイオファウナの優占分類群の1つである底生カイアシ類の群集構造の把握である.最終年度である本年度は,琉球・千島海溝周辺については属レベルの最終的な群集構造解析を行い,さらに科レベルに関しては,南海トラフのデータを加えて,3つの沈み込み帯周辺海域の群集構造の比較を試みた. 琉球・千島海溝周辺については,白鳳丸KH01-2及びKH05-1航海,淡青丸KT09-7及びKT10-23航海で採集されたサンプル計30測点の全ての解析が終っている.ソコミジンコ類の成体約1,700個体を属レベルまで同定したところ,琉球海溝で96属,22科(640個体),千島海溝で79属,18科(1,129個体)が出現した.琉球海溝周辺域では,ソコミジンコ類の多様性は水深と共に減少した.一方,千島海溝周辺域では,水深2000~3000 mまでは上昇するが,その後減少する傾向が見られた.両海域とも,水深と共に属の組成が連続的に変化するパターンが見られ,両海域を比較すると,水深が深くなるほど組成の違いが大きくなった.群集構造の変化を制御する要因としては,琉球海溝周辺域では海底に供給される有機物量,千島海溝周辺域では水深,もしくは水深と相関する要因であると示唆されている. 科レベルで見た場合,3つの海域すべてにおいて,水深1000m以浅では,フネガタソコミジンコ科Ectinosomatidaeが優占するが,水深が深くなるにつれて同科の優占率は下がり,さらに同科に占めるBradya属の相対頻度が高くなった.これは大西洋の研究ですでに指摘されていた傾向であるが,同じ傾向が,西太平洋の日本近海にも存在するという興味深い事実を,本研究で初めて明らかにすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)