2011 Fiscal Year Annual Research Report
小型種のサイチョウ類は大型種の生態系機能(種子散布)を代替できるのか?
Project/Area Number |
22770029
|
Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
北村 俊平 兵庫県立人と自然の博物館, 研究員 (60549674)
|
Keywords | 種子散布 / サイチョウ / 種子食害 / 長距離散布 / 体内滞留時間 / Aglaia / カオヤイ国立公園 / ラジオテレメトリー |
Research Abstract |
大型の果実食鳥類であるサイチョウ類は数~数十平方キロに及ぶ行動圏をもち,種子の長距離散布に貢献している可能性が高い。平成22年度は,1)サイチョウ類の単位時間あたりの移動距離と2)飲み込まれた種子の体内滞留時間に着目した研究を行った。 1)単位時間あたりの移動距離の推定では,カオヤイ国立公園において5羽のオオサイチョウと4羽のシワコブサイチョウを対象としたラジオテレメトリー法による行動圏の推定データを再解析し,単位時間あたりの移動距離を推定した。単位時間(1-4h)あたりの平均移動距離は両種でほぼ同じで(オオサイチョウ:0.3-0.5km,シワコブサイチョウ:0.4-0.6km),1kmを超える長距離移動が20%を越した。 2)種子の体内滞留時間の推定では,2010年9月と2011年2月にドウシット動物園の飼育個体(6羽のオオサイチョウと2羽のシワコブサイチョウ)を対象とした給餌実験を行った。対象個体に7-15個のリュゥガンDimocarpuslongan(種張:12-14mm,種子重:1.5g)の皮をむいて給餌した。給餌実験は個体あたり1~7回行い,8時~12時にかけて観察した。体内滞留時間の中央値や範囲は,両種でほぼ同じで,オオサイチョウで62分(23-221分,N=247),シワコブサイチョウで62分(29-202分,N=29)だった。種子は健全な状態で吐き戻され,半数以上の種子が1時間以上,体内に保持されていた。 ただし,当初予定していたサイチョウ類の主要な餌植物であるイチジク類,Aglaia spectabilis,Canarium euphyllumを用いた給餌実験は今年度行うことができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に書いたように昨年度はバンコク市内の水害の影響で、飼育個体を対象とした予定の調査を行うことができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度に収集予定だったサイチョウ類の主要な餌植物であるイチジク類、Aglaia spectabihs,Canarium euphynumを用いた給餌実験を現地の研究協力者の支援を受けながら再開する予定であり、当初の計画通りの内容を達成できると考えている。
|
-
-
-
[Journal Article] A phylogeny of frugivorous hornbills, linked to the evolution of Indian plants within Asian rain forests2011
Author(s)
Viseshakul, N., Charoennitikul, W., Kitamura, S., Kemp, A. C., Thong-Aree, S., Surapunpitak, Y., Poonswad, P., & Ponglikitmongkol, M.
-
Journal Title
Journal of Evolutionary Biology
Volume: 24
Pages: 1533-1545
DOI
-
-
-