2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物におけるホスファチジルイノシトール3キナーゼ複合体の生理機能解析
Project/Area Number |
22770031
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤木 友紀 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (00414011)
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Keywords | シロイヌナズナ / オートファジー / エンドサトーシス / PI3キナーゼ / ホスファチジルイノシトール3リン酸 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
Atg6はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)と複合体を構成して、オートファジーやエンドサイトーシスなど多様な膜動態に関わっている。シロイヌナズナのAtATG6遺伝子は花粉発芽に必須であり、これまで逆遺伝学による解析は進んでいない。本研究ではatatg6の雄性不稔を回避することで、PI3K複合体の遺伝子破壊株を植物個体として得る系を活用することにした。得られたatatg6変異体はオートファジー能を欠損するだけでなく、液胞形態の異常や生育阻害など多面的な表現型が見られた。マイクロアレイ解析により様々な遺伝子発現がatatg6変異体で誘導されることが予想されていたので、幾つかのカテゴリーに分けて順次RT-PCR解析を進めている。本年度はSAG12やDIN2などの老化関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子、リン酸トランスポーターやWBCトランスポーターなどの発現パターンを確認した。このうち、サイクリンについてプロモーターGUSをatatg6に発現させたトランスジェニックを作製した。またオーキシン輸送の異常を調べるため、DR5やPIN1などのマーカー遺伝子をatatg6変異体に導入した形質転換植物を作出したので、次年度に解析予定である。同様に、AtAtg6結合因子の遺伝子破壊株でもマイクロアレイ解析を実施した結果、atatg6変異体と共通した遺伝子発現の変動が多く見られた。これらの機能解析を通して、植物のPI3キナーゼが担う高次機能の一端が明らかになることが期待される。
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Research Products
(5 results)