2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770040
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
奥島 葉子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00432592)
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞分裂 / サイクリン依存性キナーゼ |
Research Abstract |
植物の地下部を構成する根系の形成は土壌中の栄養源の分布や生育温度の変化など、環境によって大きく影響を受ける。根の成長は主に根端分裂組織における細胞増殖の制御に依存している。今年度は、根の形成および伸長の過程における細胞増殖の制御機構を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナの根の成長過程における細胞周期制御因子の解析を行った。 シロイヌナズナの細胞周期を制御する中心的な因子として、A型およびB型のサイクリン依存性キナーゼ(CDKAおよびCDKB)が知られている。CDKBはG2/M期の移行を制御していると考えられ、さらにB1型(CDKB1)とB2型(CDKB2)に分類される。これらCDKそれぞれの転写及びタンパク質レベルの発現をモニターするレポーターラインを用い、低温や高塩濃度条件といった根の伸長が抑制されるようなストレス条件下における発現の変化を観察した。その結果、根の伸長の抑制に伴ってCDKB2タンパク質の蓄積が顕著に抑制されることが見出された。この際CDKAやCDKB1の発現レベルはほとんど変化せず、またCDKB2の転写レベルでの変化は少ないことから、CDKB2がストレス条件下においてタンパク質レベルで制御されていることが示唆された。また、このようなストレス条件におかれた植物体の根端ではDR5-GUSの発現が減少することから、オーキシンシグナルの競合阻害剤によりCDKB2のGUSレポーター系統を処理したところ、CDKB2が転写レベルよりも早いタイミングでタンパク質分解系により制御されていることが明らかとなった。これらの結果から、環境の変化に応答した根の伸長制御には、オーキシンによるCDKB2の制御が関与する可能性が示唆された。
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