2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22770043
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本瀬 宏康 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70342863)
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Keywords | 細胞伸長 / 細胞極性 / 細胞分化 / キナーゼ / Xylogen / 微小管 / 維管束 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
多細胞生物の形態形成では、細胞が極性を持って成長し、分化することが不可欠である。植物細胞の成長と分化においては、細胞壁と微小管が細胞の極性を制御する重要な機能を担っている。本研究では、植物細胞の極性形成機構を明らかにするため、細胞の成長方向を制御するNIMA関連キナーゼ(NEK)、及び、木部分化の極性を制御するxylogenの機能解析を行った。 分子遺伝学的解析が容易なシロイヌナズナを用いて、NEKファミリー(NEK1からNEK7)の機能解析を行った。NEKファミリーが特定の組織や細胞で発現して機能することを見出した。また、NEK6が細胞伸長の制御において中心的な機能を果たしていることを明らかにした(Motose et al.2011)。NEK6はNEK4とNEK5、NEK6自身と相互作用し、チューブリンなどの基質をリン酸化して、微小管の構造と細胞の伸長方向を制御することを示した。また、NEKファミリーが根や葉の形態形成にかかわることを明らかにした。 Xylogenは脂質輸送ドメインをもつ糖タンパク質で、遺伝子ファミリーを形成している。Xylogen遺伝子ファミリーの構造と発現パターンの特徴づけを行い、xylogenファミリーが植物の進化の過程で多様な構造を獲得してきたこと、発現パターンから幾つかのグループに分類できることを示した(Kobayashi et al.2011)。また、ポリアミンの一種であるサーモスペルミンがオーキシンによる道管分化の誘導を抑制することを見出した(Yoshimoto et al.2011)。これらの知見から、植物細胞の成長と分化における極性形成の機構が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NIMA関連キナーゼ(NEK)による細胞伸長の制御機構の大枠を示すことができた。また、NEKが植物の形態形成において多様な機能を果たしていることを明らかにしつつある。また、xylogen遺伝子ファミリーの構造と発現パターンの特徴づけから、xylogenファミリーの進化と機能的な重要性を示すことができた。本年度は論文3報を出版することができ、当初の目標を上回ったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はNIMA関連キナーゼ(NEK)による細胞伸長の制御機構の分子機溝を明らかにしたい。また、NEKファミリーの多様な機能とその分子機能を解明する。Xylogen遺伝子ファミリーについては、その機能と細胞内局在機構について詳細に解析する。今後も研究環境の整備と更なる研究内容のレベルアップをはかり、研究成果を論文や学会、ホームページ等において公表していきたい。
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[Journal Article] NIMA-related kinases 6, 4, and 5 interact with each other to regulate microtubule organization during epidermal cell expansion in Arabidopsis thaliana2011
Author(s)
H. Motose, T. Hamada, K. Yoshimoto, T. Murata, M. Hasebe, Y. Watanabe, T. Hashimoto, T. Sakai, and T. Takahashi
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Journal Title
Plant J
Volume: 67
Pages: 993-1005
DOI
Peer Reviewed
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