2011 Fiscal Year Annual Research Report
リボソーム遺伝子を介した葉の背腹性制御の分子メカニズムの解明
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22770045
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小島 幸治 立教大学, 理学部, 研究員 (80457382)
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Keywords | 植物 / 生体分子 / 発現制御 / 発生分化 |
Research Abstract |
1.r-protein遺伝子の葉の表皮と葉肉細胞における機能:昨年度における葉の向軸・背軸に限定した遺伝子発現による相補実験の研究を踏まえて、さらにr-protein遺伝子の葉の表皮または葉肉細胞における発現がas2rpl4d二重変異株の表現型回復に効果を示すかどうか検証した。その結果、リボソーム遺伝子の表皮における機能が葉の向背軸制御に対して重要な役割を果たしている可能性が示唆された。 2.r-protein遺伝子の変異がリボソームの機能に与える影響:r-protein遺伝子変異株においてリボソーム生合成が正常かどうか調べた結果、成熟型rRNAの蓄積量は野生型と同レベルであった。また、野生株と同様にr-protein変異株においてもポリソーム形成能があり、翻訳活性に与える影響は少ないことが確かめられた。もし、細胞内に十分量のリボソームが蓄積しているにも関わらず、形態異常が現れるならば、r-protein遺伝子の変異の影響は全体的ではなく、ある特定の遺伝子発現に対して限定的に影響を与えている可能性が示唆される。そこで、ポリソームRNAの解析結果、r-protein遺伝子変異株では向背軸遺伝子の翻訳レベルの低下がみられた。したがって、葉の背軸化の要因は向背軸遺伝子の発現レベルの均衡の乱れから生じた葉の極性制御の異常であることが可能性の一つとして考えられた。 3.総括:葉の形態形成に対して重要な可能性を持つリボソームの機能に着目し、分子遺伝学的および生化学的アプローチから研究に取り組んだ。その結果、葉の向背軸制御を特徴づけるものとして、リボソームによる特異的遺伝子発現制御機構の存在を示唆する知見が得られ、葉の背軸側および表皮におけるリボソーム遺伝子の組織特異的な役割が明らかになった。このようにリボソームの機能を通じた解析から葉の向背軸制御の解明に迫る成果が得られた。
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Research Products
(4 results)