2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のノンコーディングRNAの代謝と遺伝子発現の制御
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22770047
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
星野 敦 基礎生物学研究所, 分子遺伝学研究部門, 助教 (80312205)
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Keywords | 植物 / 遺伝子 / RNA |
Research Abstract |
本研究は、高等植物におけるノンコーディングRNAの動態と遺伝子発現の制御機構の解明のため、siRNAによる花色遺伝子の発現抑制が関与するアサガオの模様の形成機構を分子レベルで明らかにすることを目的とする。アサガオの「吹雪」は有色花弁に白いスポットやセクターが入る縞模様で、「車絞」は曜とその周辺が星状に着色した模様である。両者は全く異なる模様であるが、アントシアニン色素生合成系のDFR-B遺伝子に生じた同一の優性変異が関与しており、変異により白い花弁細胞で特異的にDFR-B遺伝子自身がsiRNAを介したRNAサイレンシングにより抑制されている。2つの模様について、色素の蓄積量、5'末端と3'末端を含む完全なDFR BmRNAの蓄積量、タンパク質量などを解析することで、白い花弁細胞でもDFR-B遺伝子のmRNAが相当量存在するが、DFR-Bタンパク質は殆ど蓄積していないことを明らかにした。これは、RNAサイレンシングにはmRNAの分解と同時にタンパク質の翻訳抑制が関与することを強く示唆している。これまで、植物のRNAサイレンシングについてはmRNAの分解に関する知見は多いが、極めて知見が少ない翻訳抑制に関する新しい発見となった。さらに、RNAサイレンシングに関与する可能性がある3種類のRNA分解酵素遺伝子のcDNAクローンを得て配列を解析した。また、そのうち2つの遺伝子について、それらを保持するBACクローンを単離し、全長配列を新学術領域研究「ゲノム支援」の協力」により解読することでゲノム構造も明らかに出来た。
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