2010 Fiscal Year Annual Research Report
全身獲得抵抗性の安定化に関わるカルモジュリンの解析
Project/Area Number |
22770052
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安田 美智子 独立行政法人理化学研究所, 植物微生物共生機能研究チーム, 研究員 (30425649)
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Keywords | 植物 / 病害抵抗性 / カルシウムシグナリング / Arabidopsis thaliana / systemic acquired resistance / SAR誘導剤 / カルモジュリン / アブシジン酸 |
Research Abstract |
植物-病原菌の相互作用における植物細胞内カルシウム応答は、サリチル酸を介する植物免疫(systemic acquired resistance, SAR)の活性化に必須の初期現象である。申請者らは、アブシジン酸を介する環境ストレス応答がSARの誘導を抑制するという現象を見出した。シロイヌナズナのマイクロアレイ解析の結果、カルシウムシグナル伝達に機能するカルモジュリンの一部の発現がSAR誘導時に特異的に誘導され、アブシジン酸との共処理により減少したことから、これらがSAR誘導とアブシジン酸を介する環境ストレス応答のクロストークに機能していることが示唆された。そこで本研究では、SAR誘導時に発現するカルモジュリンに焦点をあてて、アブシジン酸を介する環境ストレス応答とSAR誘導のクロストークにおける機能を明らかにすることを目的とした。まず、本年度はシロイヌナズナの変異株の単離、過剰発現株の作製等、機能解析に必要な遺伝子組み換え植物の作製を中心に研究を進めてきた。また、カルモジュリン遺伝子の発現誘導をリアルタイムPCRで解析した結果、SAR誘導により30分-2時間で一過的な発現が誘導されるが、48時間以降に再度発現が誘導された。SARのシグナルが伝達されないnpr1変異株でも短時間での発現は認められたが、長時間での発現誘導は認められなかった。この結果から、カルモジュリン遺伝子の発現はNPR非依存的な短時間での誘導とNPR1依存的な長時間での誘導の2段階の制御により発現を制御されている可能性が示唆された。来年度は変異株や過剰発現株を用いて、SAR誘導におけるカルモジュリンの機能解析等を進め、クロストークにおける機能の重要性を明らかにする。
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